痛みを感じない少女～Another Story 3～ (ページ12)

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その後、皆は吹雪の運ばれた病院に向かって、今は吹雪の病室に集まっていた。

夏「でもよかったわね、大事に至らなくて」

秋「えぇ……」

栗「俺達がいけなかったでヤンス…俺達が止められなかったから、吹雪さん無理をして……」

その時、春奈が声をあげた。

春「あの、吹雪先輩、本当にボール取りに行っただけなんでしょうか……」

夏「どういうこと？」

春「あ、いえ……ただちょっと……」

円「なんだよ、音無」

春「私、少し怖かったんです。あの時の、先輩の顔……」

『……』

塔「確かに、見たことないような顔してた……」

春「それに、イプシロンと戦った時も……

ボールを持ったら感じが変わるのは何度かありましたけど、あの時は妙に気持ちが高ぶってたように……」

その時円堂が何か思い出したかのように声をあげた。

円「実は俺、イプシロン戦の後吹雪に聞かれたんだ。僕、変じゃなかったって……

でも俺、なんか上手く答えられなくて……もしかしたら吹雪のやつ、相当悩んでたのかな…」

鬼「……監督は何か知ってるんじゃないですか？」

有人の言葉で全員が瞳子の方を見た。瞳子は決まりが悪そうに目線を反らした。

円「何か知ってるんですか？監督っ」

『……監督、皆に言うべきです。吹雪君の為にも』

瞳子はAを見ると、皆の方に向き直った。

瞳「……吹雪君には、弟がいたの」

秋「いた……？」

瞳「アツヤ君と言って、ジュニアチームで吹雪君と一緒にサッカーをやっていた。

兄がボールを奪って、弟がシュートを決める。完璧なDF、FWコンビだった。

でもある日、事故が起きた。サッカーの試合が終わって、車で家に帰る途中雪崩に……」

皆はそのことに驚きの表情を見せた。