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実験室に忘れ物を取りに来たヴィルは、実験材料の残りの薬草を袋に入れて戻ろうとした。

その時、準備室から出てきたクルーウェルと目が合う。






「シェーンハイトか。忘れ物を取りに来たのか」

「使わなかった薬草を取りに来たの」





クルーウェルは「そうか」と言うだけで他には何も話さない。

そんなクルーウェルを見て、ヴィルはつい話しかけてしまう。





「……最近、寮生達の間で、先生に恋人ができたと噂になっているのよね」

「あぁ、俺がそう言ったからな」

「なんでそんな嘘ついたのよ」





ヴィルの言葉にクルーウェルは目を逸らしたまま薄ら笑う。





「フン……お前にわかるか?天涯孤独な人生を歩むことが決められている俺の気持ちが」





ヴィルはその言葉に、美しい顔の眉間にシワが寄る。





「嫌ならさっさと謝ればいいじゃない」

「大人は、プライドが邪魔をして素直に話し合うことができなくなるものなんだよ」

「くだらない。そんなのただの言い訳じゃない」





ヴィルがそう言うとクルーウェルは前髪をかきあげ横目でヴィルを睨み付ける。

「黙れ」ということだろう。





「……荒れてるわね。まぁアタシには知ったこっちゃないけど」





ヴィルはそう言うと実験室を出て行き、その場にはクルーウェルだけが残った。





「…………クソッ」

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作者名:梅こんぶ | 作成日時:2020年11月24日 21時

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