三十路未婚の理由【ツイステ】 (ページ13)

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週末、Aはヴィルと一緒にデート用の服を買いにやってきていた。

都会のブティックに入ると、ヴィルは次々とAに服を渡してくる。

「次これね」

『ねぇヴィル～。これでもう２０着くらいよ？

まだ納得しないの～？』

疲れてきたと言わんばかりにAは溜息をつく。

「お姉ちゃんがアタシに頼んできたことでしょ。

やるからにはアタシが納得するまでやるわ。わかったら次はこっちの靴とこのドレス着てきて」

『はいはい』

埋もれるほどの服や靴を着せられ、さらには小物までつけられ、Aはすっかりヴィルの着せ替え人形と化していた。

そして３０着目の服に、ヴィルがようやく待ったをかけた。

『どう？』

「……フッ、さすがアタシね。これなら攻めすぎず、かつ大胆に女性らしさを引き出せる」

ヴィルが選んだものは、黒と白のベアトップの赤の膝下まであるワンピースに、赤のパンプス。

肩を露出しすぎないよう、ストールで肩を隠している。

手持ちのハンドバックは小振りで、それがさらに女性らしさを醸し出している。

「お姉ちゃんの綺麗なデコルテを見せるなら足は隠す。

両方出してたら安い女に見えるわ。これなら完璧よ。

当日は髪は下ろしていってね」

鏡に映る自分の姿を見てAはクルクルと回る。

『さっすがヴィル。良いセンスしてる』

「当たり前でしょ。ほら、さっさと会計して次行くわよ」

『え？次？』

「次はメイク用品を見に行くの。早くしてよね」

結局Aは上から下までヴィルに全てプロデュースされることになったのだった。