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それから1ヶ月程過ぎた頃だろうか
二学期期末テストの結果発表の日
息子は頬に大きなガーゼをつけて帰宅した。
「一体どうしたの、その傷は」
駆け寄るが、息子は罰が悪そうに俯いた。
「大した事ではありませんよ」
「大した事あるでしょう。こんなに腫れて」
頬に手の甲を当てると、かなり腫れている上に熱をもっていた。
相当強い衝撃を受けなければ、こうはならない。
「体育で転倒しただけです」
「転んだ傷じゃないわ」
息子は、頑なに視線を合わせない。
口の端には切り傷が出来ており、血が滲んでいた。
「誰に殴られたの」
「言いなさい」
強い声に、息子の肩が跳ねる。
その瞳は小刻みに揺れている。
「クラスの子？それとも、他に…」
「僕の仲間は…いや、この学校に在籍している“生徒”はこんな真似をしない」
心臓が、嫌な音を立てながら暴れ始める。
あぁ、どうか、私の勘違いであって
心の中で懸命にそう祈りながら、必死に下手な笑顔を貼り付け息子に問いかける。
「まさか…父さんじゃ、ないわよね」
息子は答えない
「違うわよね。ね？」
肩に手を置くと、息子は顔を上げて告げた。
「他に誰がいるというんですか」
ぶつり、と
糸が切れる音がした。
両手が、力が抜けたようにするりと崩れ落ちていく。
「本当に？」
「本当に、學峯さんがこんな事を……」
息子は頷いた。
貼り付けていた仮面が、ボロボロと剥がれていく。
もはや悲しみや驚きなど通り越し、身体の奥底から猛烈な勢いで怒りが込み上げてくる。
それと同時に、強い後悔と、息子に対する罪悪感に苛まれた。
私の知らない所で、この子は酷く苦しんでいるのでは
殴られたのは、本当に今日が初めてなの？
それと同時に夫への猜疑心も膨れ上がり、心臓が押し潰されてしまいそうになった。
「学秀、私に聞かせて」
「今まで学校であったこと、全部」
「…いえ、父さんも交えて話す必要があるわ」
気がつけば、携帯電話を手に取り椚ヶ丘中学校に電話をかけていた。
“教師としての”夫の教育方針に、専業主婦の私が口を出す権利などないのかもしれない。
洗脳も差別も、全てを見過ごして笑っているのが良い妻のあり方で、夫婦円満の秘訣なのかもしれない。
それでも、そうだとしても
私の息子に危害を及ぼすというのなら、私は絶対にあの人を許すことなどできない。
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ミルメーク(プロフ) - 長い間お疲れ様でした！もし良ければ浅野親子関係で新しいストーリー作って欲しいです！ (3月21日 20時) (
レス) id: b3b06100e3 (このIDを非表示/違反報告)
hal - 非常に面白かったです！時間を忘れて一気に読みました。原作のイメージそのもので驚き、公式から浅野家スピンオフとして出せる作品だと感じました。私も学秀君が正気を保っていられたのも、浅野家が家族として何とか機能していたのも奥さんの存在が大きいと思っています (2023年3月13日 1時) (レス) id: 96f1185981 (このIDを非表示/違反報告)
キャラメルコーン(プロフ) - 奥様が泣いたてしまったシーンが私の中で凄く感動して泣きました、これからも更新する予定でしたら更新していただけると嬉しいです！ (2022年9月2日 0時) (レス) id: bee3de3e8f (このIDを非表示/違反報告)
おむれつ(プロフ) - おもちゃ箱さん» コメントありがとうございます。キャラの口調等は特に気をつけて書いているのでそう言って頂けると嬉しいです！ありがとうございます。更新これからも頑張っていきます。よろしくお願いします。 (2022年2月24日 21時) (レス) id: b911301b3c (このIDを非表示/違反報告)
おもちゃ箱(プロフ) - キャラの特徴がすごくつかめていて、読んでいて違和感がないです！！お話も本当に面白いです！更新待ってます！ (2022年2月23日 21時) (レス) @page17 id: c78fba56e9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おむれつ | 作者ホームページ：http://mokyumokyuuu
作成日時：2022年1月11日 19時
