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校舎の外へ出ると、追い打ちをかけるように秋風が吹き、落ち葉が勢いよく舞い上がる。
濡れた前髪をかきあげると、ひっそりと深いため息を落とした。
「あの」
突如現れた気配に振り返ると、髪を二つに結った小柄な少年が立っていた。
潮田さんのご子息だとひと目でわかった。
雰囲気は点で異なっているものの顔立ちが何処と無く似ている。
「さっきは母さんがすみませんでした」
「母は怒ると手が付けられない所があって…」
眉を下げて深深と頭を下げる少年に、急いで側へと駆け寄る。
「顔を上げて潮田君、貴方が謝ることじゃないわ」
「貴方のことを強く想ってくれる素敵なお母様よ。私も同じ母親として、彼女の気持ちは分かるもの」
顔を上げるよう促すと、潮田君はおずおずと不安気な表情を浮かべた。
「…こちらこそ、ごめんなさいね」
潮田君の母親が激高する気持ちは痛いほど理解出来る
椚ヶ丘中学3年E組は、成績不振の生徒を集った被差別待遇を受けているクラスだ。
その場を目にした事は無いが、その実態があまりに酷いというのは、幾多の母親達の証言から明らかとなっていた。
もし息子がそんな境遇に置かれたとしたら、私も黙ってなどいられないだろう。
遠くから響くクラクションを合図に、潮田君はぺこりと頭を下げて走り去る。
その姿を見届けると同時に、背中いっぱいにふんわりとした感触が伝わる。
「あら、理事長先生」
「こんにちは浅野君のお母さん」
見上げると、隣には夫の姿があり、肩には今朝方渡したコートが掛かっていた。
「何故そんなに濡れていらっしゃるんです。雨など降っていないでしょう」
「ふふっ、少し水を零してしまって」
「頭から水がかかるとは、随分と派手な零し方をなされたようですね」
夫は口調こそ柔和なものの声音は低く、いつにも増して冷徹な表情を浮かべていた。
先程のことはもう耳に入っているのだろう。
「車を待たせてある。行きなさい」
「えぇ。ありがとう」
「今日もお夕飯は外で食べてくるの？」
「あぁ。そのつもりだよ」
ねぇ、學峯さん
こんなのおかしいわ
虐めで生徒を亡くしたからといって虐めまがいの教育をしていい理由になんてならないのよ
このままいけば、また同じことを繰り返してしまう
けれど、私に一体何が出来るのか
彼の背中を見送りつつ、コートの裾を握る手に力を込めた。
なんと不甲斐ないのだろう。
乾いた空気に、思わず強く咳き込んでしまった。
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ミルメーク(プロフ) - 長い間お疲れ様でした！もし良ければ浅野親子関係で新しいストーリー作って欲しいです！ (3月21日 20時) (
レス) id: b3b06100e3 (このIDを非表示/違反報告)
hal - 非常に面白かったです！時間を忘れて一気に読みました。原作のイメージそのもので驚き、公式から浅野家スピンオフとして出せる作品だと感じました。私も学秀君が正気を保っていられたのも、浅野家が家族として何とか機能していたのも奥さんの存在が大きいと思っています (2023年3月13日 1時) (レス) id: 96f1185981 (このIDを非表示/違反報告)
キャラメルコーン(プロフ) - 奥様が泣いたてしまったシーンが私の中で凄く感動して泣きました、これからも更新する予定でしたら更新していただけると嬉しいです！ (2022年9月2日 0時) (レス) id: bee3de3e8f (このIDを非表示/違反報告)
おむれつ(プロフ) - おもちゃ箱さん» コメントありがとうございます。キャラの口調等は特に気をつけて書いているのでそう言って頂けると嬉しいです！ありがとうございます。更新これからも頑張っていきます。よろしくお願いします。 (2022年2月24日 21時) (レス) id: b911301b3c (このIDを非表示/違反報告)
おもちゃ箱(プロフ) - キャラの特徴がすごくつかめていて、読んでいて違和感がないです！！お話も本当に面白いです！更新待ってます！ (2022年2月23日 21時) (レス) @page17 id: c78fba56e9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おむれつ | 作者ホームページ：http://mokyumokyuuu
作成日時：2022年1月11日 19時
