未知の時間 ページ2
その校舎はとても古びていて、昨晩の雨のせいもあってか木の香りに満ちていた。
足を1歩進める度に床がギシギシと音を立てた。
風によって窓が揺れ、窓枠の隙間から冷たい風が流れ込み、頬を掠めた。
あまり教育に適した環境とは言えないかもしれない
けれど私は、この場所が好きだった。
「失礼致します」
ゆっくりと職員室の引き戸を開ける。
「これはこれは」
「どうぞおかけになってください」
細長い触手がにゅるりと伸び、キャスター付きの椅子がこちらへ運ばれてくる。
ゆっくり腰掛けると、手に持っていたケーキボックスを机の上へと置いた。
「甘いものがお好きだと聞いたので、よろしければ一緒にいかがでしょうか」
「にゅやッ！これはもしかして、駅前の数量限定のチーズケーキではないですか！？」
「ご名答です」
ツヤツヤとした丸い頭に、つぶらな瞳が2つ、らんらんと輝いている。
何本もの触手が楽しげにうねり、喜びを表している。
その姿は私が今まで見たどの生物とも異なっていて、“奇妙”という言葉に命を与えたようだ。
けれど、そんな未知の生物を前にしても何故だか恐怖は覚えなかった。
「あの____ 」
声を振り絞ると、それは顔を上げて、微笑んだ。
「主人を変えて…いえ、導いてくれて」
「本当にありがとうございました」
私はできる限り深深と頭を下げた。
手が小刻みに震え、心の臓が暖かくなるのを感じた。
薄暗い蛍光灯の光が反射し、薬指の指輪が光る。
「お礼を言われることなど何もしていませんよ」
「顔を上げてください、浅野君のお母さん」
その言葉に促されるように顔を上げると、やはり目の前の黄色い超生物は、穏やかに笑っていた。
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ミルメーク(プロフ) - 長い間お疲れ様でした！もし良ければ浅野親子関係で新しいストーリー作って欲しいです！ (3月21日 20時) (
レス) id: b3b06100e3 (このIDを非表示/違反報告)
hal - 非常に面白かったです！時間を忘れて一気に読みました。原作のイメージそのもので驚き、公式から浅野家スピンオフとして出せる作品だと感じました。私も学秀君が正気を保っていられたのも、浅野家が家族として何とか機能していたのも奥さんの存在が大きいと思っています (2023年3月13日 1時) (レス) id: 96f1185981 (このIDを非表示/違反報告)
キャラメルコーン(プロフ) - 奥様が泣いたてしまったシーンが私の中で凄く感動して泣きました、これからも更新する予定でしたら更新していただけると嬉しいです！ (2022年9月2日 0時) (レス) id: bee3de3e8f (このIDを非表示/違反報告)
おむれつ(プロフ) - おもちゃ箱さん» コメントありがとうございます。キャラの口調等は特に気をつけて書いているのでそう言って頂けると嬉しいです！ありがとうございます。更新これからも頑張っていきます。よろしくお願いします。 (2022年2月24日 21時) (レス) id: b911301b3c (このIDを非表示/違反報告)
おもちゃ箱(プロフ) - キャラの特徴がすごくつかめていて、読んでいて違和感がないです！！お話も本当に面白いです！更新待ってます！ (2022年2月23日 21時) (レス) @page17 id: c78fba56e9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おむれつ | 作者ホームページ：http://mokyumokyuuu
作成日時：2022年1月11日 19時
