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29話 ページ29

「…ごめん、もう戻るから」


そう告げて私はその場から離れた

つもりだったけど パシリ とアダムに手首を掴まれ、引きとめられてしまう


「…13のところに戻るのか?」

「ッ!」


そう聞く彼に少し動揺してしまうけれど、すぐに落ち着きを取り戻し、彼に向かって


「そうだよ…だから離して」


そう冷たく、突き放すように言ってみるけれど


「なら…なおさら行かないでくれ」


と弱々しく言う彼に心は乱される

そんな私の心情を知らずに彼は口を開き


「自分勝手なのは重々承知している…だがAが13の所に行くと考えると辛くて仕方ない…」


何で今更そんなずるいことを言ってくるのだろう…

だけど今の私にはそんなことを言われたってどうしようもない


「…ッもうすこし前に言ってくれてたらものすごく嬉しかった」

「ッ!A…俺は…ッ…「けれど、もう遅いよ…」


そう、なにもかも私達は手遅れなんだ。だって…


「アダムは私じゃなくて違う人を選んだ」

「ッ…!…それは…ッ」

「言い訳なんて聞きたくない、貴方は私より彼女がいいと思ったから私を捨てた」

「……」


それ以上の言葉は出ないのか俯き黙ってしまうアダム

そんな彼を見て黒い感情がドロドロと溢れ出す


「それなのに今更、私を好きだなんて意味がわからない…」

「ッあァ、Aにとってはそう捉えられても仕方がないと分かってる。それでも俺はッ…!」


胸に手を当て必死にこちらに訴える彼

だけどそんな彼の話も耳に届かなくて、黒い感情はもう溢れ出したら止まらない


「じゃあなんで私を置いて行ったの?彼女を選んで私を捨てたの?私は貴方を本気で好きだった…それなのに…なのにッ!」


言い過ぎた と気づきハッとなるけれどもう遅くてしっかりとアダムは全てを聞いていた

そして彼はゆっくりとこちらに歩み寄る

そんな彼から逃れようと後ずさると、グイッと突然腕を引っ張られ抱き締められた

すぐに腕の中で暴れるけれど


「頼むから…このまま話を聞いてくれ…」


静かにそして切なく言う彼に思わず抵抗をやめてしまう

すると彼はふと口を開き


「A…こんなことを言うのは不謹慎だと思うが…俺はお前の本音が聞けて嬉しく思ってしまった

だから、俺もお前に本音を言おうと思う」



そう告げて彼はゆっくりと私を離し、真剣な表情をこちらに向けた

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Omiso(プロフ) - 白虎さん» またのコメントありがとうございます!私も少しこの小説を終わらせることに寂しさを感じちゃいました(笑)けれどこの作品を良いと言って貰えてとても満足しています!次回作は考え中なのでいつになるのか分かりませんが頑張ってみますね!本当にありがとうございました! (2019年4月28日 1時) (レス) id: dc3fcb1081 (このIDを非表示/違反報告)
白虎(プロフ) - 完結おめでとうございます…! そしてお疲れ様でした! 終わってしまい少し寂しい気もしますが、やっぱり感嘆しました…! とても良い作品を書いてくださってありがとうございました、次作の方、楽しみにしてます!! (2019年4月28日 0時) (レス) id: e2f4e0cbf0 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - 13推しさん» 最後まで応援ありがとうございました!貴方様のコメントがとても励みになっていました!この作品を素晴らしいと褒めて下さり、読み返していただけるなんて嬉しすぎるお言葉とても感激です!本当に最後までこの小説につきあって下さりありがとうございました!! (2019年4月28日 0時) (レス) id: dc3fcb1081 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - mikuri1024さん» またのコメントありがとうございます!!今回の小説では病みの13はいませんでしたが、純粋な13を楽しんで頂けてられてたのならとても安心しました…。次回作についてはまだ考え中ですが貴方様の応援の言葉とても嬉しく思います!!本当に最後までありがとうございます! (2019年4月27日 23時) (レス) id: dc3fcb1081 (このIDを非表示/違反報告)
13推し(プロフ) - 完結お疲れ様でした!!いやぁー、とても満足出来ました!素晴らしい作品をありがとうございます!これからもちょくちょく読み返します(笑) (2019年4月27日 23時) (レス) id: ad78e4c495 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Omiso | 作成日時:2019年3月26日 22時

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