２０話・どこまでも ページ21
前線基地全体が見渡せる高いところまで戻ってきた。
そこから見下ろせば、中心に大きな穴が出来ていた。きっと、あそこで何かが起こって爆発したのだろう。
「…ん？誰か闘ってる？」
荷物を下ろして目を凝らせば、壁を伝いながらボンドルドと小さな男の子が火花を散らしていた。
だが、それは人間同士の戦闘ではなかった。
男の子の人間離れした動きといい、ボンドルドも上昇負荷によって元の姿とはかけ離れた獣の姿に成り果て始めている。
目を惹きつけるほどの激しい戦いだった。
しかし、決着はすぐについた。男の子がボンドルドに押し倒されて劣勢かと思ったところに仲間であろう女の子によって死角から砲撃が打たれてボンドルドは半身を失ったのだ。
「…すごい」
あんな子どもが恐ろしい怪物を倒してしまうとは。大人の私でさえ成し遂げられなかったことをやってのけたのだ。きっと、施設内のバッテリーが落ちてドアが開いたのもあの子たちのおかげなのだろう。
ボンドルドはそんな小さなお客さんを利用しようとしたが、逆に返り討ちに遭った。
本当だったら彼らの元へ駆けつけてお礼を言ってボンドルドに「ざまぁみろ！」と吐き捨ててやりたいところだが、どちらにも関わる気はさらさらない。そんな体力もなければ、早く地上へ戻りたい気持ちの方が大きい。
さっさと下ろした荷物を背負い直して…と彼らから目を逸らしかけた時だった。
「〜ッ！？」
子供たちに置き去りにされていく半身のボンドルドが不意にぐるりと顔をこちらに向けた。
「ひぃ」と情けない声が出てしまった。
あそこからここまで辛うじて姿が見える距離だ。こちらの存在に気付くわけがない…というのに怪物はあからさまに私に向かって手を伸ばしていた。
すぐに背を向けてその場から離れた。カタカタと震える手をギュッと握りしめる。
…大丈夫。大丈夫だ。半身を失ったアイツは追いかけてくることはない。それに、あそこまで前線基地が崩壊していたんだ。精神隷属機も壊れたことだろう。
ボンドルドが復活することはもうないのだ。
何もかも終わったんだ。閉じ込められていた生活も暗殺依頼の件も何もかも。そうだ！アイツは死んだんだ。地上に帰ったらあの外人に報告して大金を得よう。そして、アビスから離れた異国に移住するんだ。
これから先は、希望に満ちた快適な暮らしが待ってる。
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ヨモギ餅 - メイドインアビスで1番好きなキャラが黎明卿なので楽しく読ませて頂きました！ほんとに面白くて一気に呼んじゃいました!! (9月18日 23時) (
レス) @page25 id: ba2b3def77 (このIDを非表示/違反報告)
P様さん - 最近ボ��を知って夢探して読んだんですがめちゃくちゃ面白かったです!!こんな面白い作品書いてる人は誰だろう……と思って見たらOmiso様~!!!素晴らしい!!これを期にOmiso様の他の夢小説も読んで見る事にします!! (2023年3月30日 22時) (レス) @page25 id: fd9e8b1b91 (このIDを非表示/違反報告)
円陣はずれ - 度し難い、、が、黎明卿の女体化は少し興味あr(( それとグェイラァァァァ‼︎ (2023年1月7日 23時) (レス) @page25 id: dd75b894fb (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - 紅葉夜月さん» コメントありがとうございます！ボンドルドのヤバさを全て出し切りました(笑)グェイラとの関係まで褒めて下さってとても嬉しいです！度し難いボンドルドを最後まで堪能して下さりありがとうございました！ (2022年10月17日 21時) (レス) id: 6bf568ad42 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉夜月(プロフ) - ボンドルド卿のヤバさも素晴らしさも全て表現されていて最高でした………！！！夢主を手に入れるためなら暴力も厭わないところやグェイラとの関係も最高です！！ (2022年10月17日 20時) (レス) @page25 id: ad75ac515c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Omiso
| 作成日時：2022年7月17日 0時
