10話 ページ10
「今度は自分から話しかけて腕に抱き着いてみよう」
「腕に抱きつく?」
「そうだよ…あれ?もしかして意味わからない?」
「すいません。腕に抱きつく事なんてしたくなくて」
「じゃあ、実践しようか」
そういうと立ち上がって窓側に行くと「おいで」とこちらに手を伸ばす夏油先輩。
同じように立ち上がりその手を取ると手を先輩の腕に添えるように置かれて、もう片方の手も取られて言葉通り腕に抱きつくようにされる。
「これが腕に抱きつく。あとはそうだね。もっと私に寄ってみて」
「こ、こうですか?」
ギュッと密着するように寄せ先輩を見上げる。夕陽によって顔に影がさしどんな表情を浮かべているのか見えないけど、
「…ッとってもいいね。悟にしてごらん。喜ぶよ」
その言葉をもらえたのなら正解だったのかな?
「じゃあ明日早速やってみます!」
そう言って腕を離そうとすると、ガシリと掴まれる。
「もうちょっとこのままでいいかい?」
「え?」
首を傾げると「少しだけ」とポツリとつぶやく先輩にはぁ…と応えて腕を互いに組んだ状態で窓の外を見つめる。
オレンジに染まる夕焼けが沈んでいくのをただ眺めていると
「この景色、毎日こうして見れるといいね…一緒に」
「!そうですね。五条先輩と見れたらとっても嬉しいです」
そう返すとこちらに向く顔はもう夕陽による影はさしてなくてハッキリと見える。
眉を下げて何処か寂しそうな表情で「そういうことじゃないんだけどな」と笑っていた。
?応援してくれている先輩だからきっとそうだと思ったけど思い違いだったかな。
「…いや、気にしないでくれ。もっと頑張らなくちゃと思ってね。君のためも」
スルリと組んでいた腕が下に伸びてギュッと手を握られる。ギョッとする私に構わずその手を持ち上げられて両手で包まれる。
夏油先輩の方を見るが、先輩は私の手に目を落としてゆっくりと撫でる。
「こうやって手も繋げるようになれるといいね。もし余裕があれば明日悟にやってみるのもいいかも」
「えっ…と、まだその自信は…」
「さすがにまだ早かったか。ごめんね」
パッと手を離してフフッと笑う夏油先輩に苦笑いを溢す。
…びっくりした。大きな手にすっぽり包まれた時といい、その手を持ち上げられてゆっくり優しく撫でる感触にゾワリとした。
まるで恋人にするような眼差しと仕草に少し怖気ついたのは心にしまっておこう。
そう感じたのはきっと私の思い過ごしだろうから。
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Omiso(プロフ) - 緑の白猫さん» 前作でも今作でもコメントありがとうございます!ドロッドロという素敵な褒め言葉、最高に嬉しいです!心情は特に意識しているのでそう言って頂けて光栄に思います!次回作を出せれた時はぜひ応援よろしくお願いします!最後まで読んで下さりありがとうございました! (2021年4月5日 14時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
緑の白猫 - ドロッドロでおっもい(超褒め言葉)好み過ぎる作品をありがとうございました! 前作も読ませて頂きましたが、どちらも心情描写が堪らなく好きです。作者様のペースで新しい作品を作って頂ければ飛びつきます。本当にありがとうございました。 (2021年4月5日 13時) (レス) id: 41276e8159 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - ノアさん» 最後まで読んで下さりありがとうございました!いつもは今までの作品も読んで下さっていたのかな?今作も読んで頂き嬉しい限りです!世界観を味わってもらうよう文は意識しているのでハラハラしたという感想を頂けて大満足です!今後とも応援よろしくお願いします! (2021年3月21日 21時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - muuさん» muu様!またのコメントありがとうございます!そして最後まで読んで下さりありがとうございました!憧れである貴方様に素敵な褒め言葉を頂けて感涙してしまいそうです(泣)いつも影ながら応援しています!そしてこの作品を応援して下さり本当にありがとうございました! (2021年3月21日 21時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - 虹野原さん» そして貴方様のような素敵な方に読んでもらえて心の底からこの作品を作ってよかったと思います!今後においてまた作品を作る機会では貴方様の応援を糧に全力で頑張ります!本当にありがとうございました! (2021年3月21日 21時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Omiso | 作成日時:2021年2月6日 18時