気づいた時にはもう遅いから【呪術廻戦】

7話 ページ7

一つ目のアドバイス。どんなことを言われるのかと自然に体が身構える。

そんな私を見かねてか夏油先輩はクスクスと笑って


「そんなに緊張しなくても大したことではないよ」

「そ、そうですか…」

「うん。簡単なことさ。Aちゃんはもう少し積極的になった方がいいよ」


積極的という言葉に具体的なイメージが掴めない。


「積極的って一体どんな風にしたらいいんですか？」

「うーん、そうだね。悟はグイグイ来る女の子が好きなんだ。自分から行くのは彼のプライドが許せないらしくて。前にも甘え上手な子が好みだといっていた。だから君から悟に甘える仕草をすればいいと思うよ」

「…甘える…」


確かに昨日、授業前に絡まれたときに


「(ほんとお前無愛想だな。甘えてくれた方が可愛げあるわ)」


ということを言われたのが記憶にある。

だけど、甘えると言われても私にそんなこと出来るだろうか。今までしたこともないし分からない…そもそも甘えるって何をすればいい？


「あまりピンときてないようだね。なら私で練習してみるかい？」

「…え？」


突然の発言に戸惑っていると夏油先輩は「実践が大事なんだよ。ほら」と両手を広げている。

それがどういう意図なのか分からずに固まっていると


「分からないのかい？積極的な子ならこうして…」


膝に置いていた手を掴まれてグイッと引っ張られる。そのままボスンと夏油先輩の胸元に飛び込む形になった。

慌ててのこうとするものの、腰に手を添えられグッと抑えられて動けない。


「こら、逃げない。そこは私の背中に回すんだよ？ほらやってみて」


やってみてって…え？これっておかしくない？こんな形で教えてもらうなんて思ってもみなかったのに…


「戸惑うことないよ。これは練習だから。何もおかしいことじゃない。それにそんなんじゃいつまで経っても悟に振り向いてもらえないよ？いいのかい？」

「…ッ」


煽るような言葉に言われるがままに夏油先輩の背中に手を回す。


「そうそう。いいね。まずはこのぐらい出来たらいいんじゃないかな？」


その言葉と共にやっと離れる手に自ら抱きしめていた腕を解きバッと夏油先輩から離れる。

恋愛経験が全くなかった私にとってこんな風に異性の人と抱きしめ合うなんて初めてで、羞恥心からか顔に熱が集まる。

そんな姿を夏油先輩は楽しそうにクツクツと笑っていた。









「(ッあぁ、君はとってもウブなんだね。可愛いよ)」

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