気づいた時にはもう遅いから【呪術廻戦】

46話「幸せな未来を望む」 ページ46

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿


「アハッ…アハハハハハハハハハハハハッ！！！！」


壊れた人形のように笑い続ける彼女に私はどんな言葉をかければいいのだろう。

こう望んだのは確かに私だった。どんな彼女でも愛せると誓い、閉じ込めて、逃さないように命を宿す自身のものを無理やりねじ込んだのも事実。

だが、どんなにクズに成り下がっても気が狂ってしまった彼女を見て、今更罪悪感が心に居座り続けて、どうしようもなく自身の行ってしまった罪の深さに胸糞悪かった。

あぁ、それでもクズの本質は変わりないのか。嫌がる彼女より、縛り付けるものがない時より、今こうして私との繋がり、形ある愛を彼女に植え付けられて心が満たされ、歓喜に震えているのだ。

結局どっちが本心なんだ？と問いかけられれば分からない。とても複雑だ。複雑な上にきっと誰にも理解してもらえないと思うのだ。

私は、いつまでも自分勝手で身勝手だ。

だが色んな感情が入り混じる中、一つだけハッキリしてることはある。分かりきったことだ。


そう、私は彼女を愛してる。


それさえ分かればもう良くないか？

空笑いを続ける彼女を引き寄せる。腕の中で優しく、力強く、愛情を込めて抱き締めた。


「A。こんな風にさせてごめん…なんて謝らないから。けど分かって欲しい。全ては君を愛しているからなんだ。いいや、愛してるなんて言葉じゃきっと伝えきれないな」


この心に秘めた無限に広がる君への想いはどの言葉にも当てはまらずどんなに探しても見つからない。

ピタリと笑うのをやめて私を見る彼女は見慣れた涙を流す。そしてただ一言。


「私を許して…ッ…」


何を許して欲しいんだろうか。私の愛を受け止めきれないこと？お腹の中にある新たな命に対する謝罪？

あぁ、それともここから解放して欲しいのか？まぁ、どちらにせよ私は_____________


「いいよ、許してあげる。でもそれはもっと先の話になりそうだ」


許しを乞わない頃合いになったら君を許してあげる。その時にはきっと、

君も私を愛するようになり、生まれてくるであろう子供と三人で手を繋いで、青空が広がる下で歩く。

47話「やっと素直になれた」→←45話「青空に焦がれる」

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す