気づいた時にはもう遅いから【呪術廻戦】

31話 ページ31

貴方サイド


駆け上がる。全ての気持ちを押し殺して階段を駆け上がっては目の前の扉を開くと

憎たらしいほど澄み切った青空が広がる。一番空に近い場所。誰もいない屋上。

授業も自ら初めてサボって、制服が汚れるのも気にしないでその場で崩れ落ち、座り込んでは


「う…あ゛ぁ…ァァァァァァ゛ッ！！！」


汚い泣き声をあげて、滂沱と涙を流す。

本当に好きだった。自分が思っている以上に五条先輩に恋をしていた。

だけど向き合って欲しいという願いを届けた上で五条先輩は私をおもちゃとして見てないという結論を出した。そして、


「(気色悪いんだよ)」


罵倒もされた。


「(その好意もお前自身にもうんざりだ)」


散々の言われようだった。


「(一生俺の前で好きなんてほざくな)」


悲惨な告白になった。

もう諦めるしかない。ここまで好きな人に突き放されて、嫌われて、好きだという言葉もなんの意味もなさなかったんだ。

膨れ上がる想いがパチンッと割れて散っていく。

先輩…五条先輩…ッ…貴方を好きだった。大好きだった。だけど、この想いは先輩にとって迷惑でうざくて、要らないものなんだ。

捨てなきゃ。さようならしなきゃ。先輩にとってこの想いは薄っぺらいものなのだから。


「(上辺だけしか見てないくせに好きだなんて言いやがって)」


あぁ、所詮その通りなのかもしれない。貴方に恋したきっかけはほとんど外見に過ぎなかった。

初めて会った時、青い瞳も白い髪が靡くところも、この世のものとは思えないほど美しい容姿も

惹かれてないフリをするので精一杯だった。

そこから貴方が絡むようになって可愛がってくれる仕草に勘違いしてしまった。

でも、より貴方と関わりを持てば性格を含めた全てが好きになって、

任務を誰よりもこなすことも、最強と言われながらも影で努力していることも、偶に小さな気遣いも…

もう言い切れないほどに。五条先輩の顔でもない、最強という肩書でもない、家系の権力でもない。

ただ五条先輩本人のことが好きだった…なんて今更遅い。伝えられない。

勘違いがいけなかった？私って単純？もっと貴方のこと知ってから好きだと伝えればよかった？

いいや、何もかも無駄だ。何度想っても貴方の心にはもう届かない。

でも、もう…これで最後にするから言わせて欲しい。


「先輩、ごめんなさい。大好き…ッ…」


でした＿＿＿＿＿＿＿



あァ、本当に虚しくて寂しい。最初から最後まで独りよがりの惨めな恋だった。

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