30話 ページ30
五条サイド
頭から離れない。
彼女の徐々に歪んでいく顔と最後に泣き崩れて手で覆う姿が。俺はAになんていった?
「好きです」
その言葉を聞いたときトクンとまた心が揺れ動いた。だが、その淡い高揚感に任せることなく
「ハァー…ほっんと勘弁しろよ」
「ぇ…」
「お前に構っていたのは反応が面白かっただけ。それを好意だって勘違いしちゃった?クソ迷惑」
「〜ッ」
スカートを握っては俯き涙を堪えている彼女に追い討ちをかける。
「ほら、こうなるから嫌だったんだよ。めんどくさっ、泣くなよ」
「先輩…それが私と向き合った答えなんですね」
「向き合ったも何も俺はお前のことをおもちゃとして可愛がってただけ」
「私は…ッ…おもちゃとしてじゃなくて貴方に女として見てもらいたかったのはいけないことですか?」
振り絞るように言われたその言葉にギリっと歯を食いしばる。
こんなに真正面から好意をぶつけられることは初めてだった。
初めてだったからこそ戸惑った。そして彼女に動揺する自分を認めたくなかった。
「〜ッ気色悪いんだよ!!!その好意も、お前自身もうんざりだ!!!上辺だけしかみてねぇーくせに好きだなんて言いやがって。一生俺の前で好きなんてほざくな!!!」
気持ちの昂りで勢いよく出た言葉はもう取り返しがつかない。
ハッと冷静になれば彼女は泣いていた。眉を寄せて顔を歪ませて泣き崩れていく。
今まで見たことない弱々しい彼女がそこにいたんだ。
あぁ、自身に対して嫌悪感が押し寄せて何故こんな感情が溢れているのか分からない。
今までもこんな風にフッてきただろ。彼女のように泣き崩れた奴も中にはいた。
それでもなんとも思わなくて女に対する感情なんてとうの昔に捨てたはずだったのに。
「なんなんだよッ」
泣き崩れる彼女を通り過ぎて完全に関係を壊した今。
今更、肩を震わせる彼女に横を通り過ぎず声をかければよかっだろうか…なんて思ってしまう。
だが、あの時に上から降って来た「お疲れ様」という言葉、全てを見透かすような親友の視線に何も出来なかった。いや、しようとしなかった。
プライド。俺の中の高過ぎるそれが壊せなかった。
そして、また俺は虚勢を張っては
「あー、新しい奴(玩具)入学してこねぇーかな」
彼女の泣き顔を振り切るように、自身に言い聞かせるように。…後悔なんてないだろ?
「やっぱり素直じゃないな」
聞こえたその言葉は自分の声か、それとも親友の声か。
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Omiso(プロフ) - 緑の白猫さん» 前作でも今作でもコメントありがとうございます!ドロッドロという素敵な褒め言葉、最高に嬉しいです!心情は特に意識しているのでそう言って頂けて光栄に思います!次回作を出せれた時はぜひ応援よろしくお願いします!最後まで読んで下さりありがとうございました! (2021年4月5日 14時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
緑の白猫 - ドロッドロでおっもい(超褒め言葉)好み過ぎる作品をありがとうございました! 前作も読ませて頂きましたが、どちらも心情描写が堪らなく好きです。作者様のペースで新しい作品を作って頂ければ飛びつきます。本当にありがとうございました。 (2021年4月5日 13時) (レス) id: 41276e8159 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - ノアさん» 最後まで読んで下さりありがとうございました!いつもは今までの作品も読んで下さっていたのかな?今作も読んで頂き嬉しい限りです!世界観を味わってもらうよう文は意識しているのでハラハラしたという感想を頂けて大満足です!今後とも応援よろしくお願いします! (2021年3月21日 21時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - muuさん» muu様!またのコメントありがとうございます!そして最後まで読んで下さりありがとうございました!憧れである貴方様に素敵な褒め言葉を頂けて感涙してしまいそうです(泣)いつも影ながら応援しています!そしてこの作品を応援して下さり本当にありがとうございました! (2021年3月21日 21時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - 虹野原さん» そして貴方様のような素敵な方に読んでもらえて心の底からこの作品を作ってよかったと思います!今後においてまた作品を作る機会では貴方様の応援を糧に全力で頑張ります!本当にありがとうございました! (2021年3月21日 21時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Omiso | 作成日時:2021年2月6日 18時