気づいた時にはもう遅いから【呪術廻戦】

24話 ページ24

「よく見てるって…」

「そう、Aちゃんは可愛い後輩だからつい気になって目で追ってしまうんだ」


後輩だからという理由に納得しながらも そういうものなの？と頭の片隅では少し疑問に思う。

その上「可愛いなぁ」と相変わらずペタペタと私の頬を触ってくる先輩。

やっぱり距離感おかしい気がするし、遠回しに口説かれてるようなって…ないない。夏油先輩は日頃からこう褒めてくれるし。

きっと後輩だから純粋に可愛がってくれてるだけなんだろう。口説かれているなんて私の勝手な思い込みだ。


「！おっと、もうこんな時間か。長居しすぎたね。そろそろ帰るよ」

「いえ。相談乗ってくださってありがとうございました」

「いいんだよ。じゃ、明日の報告楽しみに待ってるね。おやすみ」


立ち上がる際に私の頭を撫でて、ヒラヒラと手を振りながら部屋から出て行った。

しばらくボーッとして頭に残る感触に手を置いてみる。


「なんか…甘々なお兄ちゃんみたいに思えてきた」


誰に対してこうなのか。きっと人を甘やかす天才なんだろうなと考えつつ、

少し強引な面には違和感が残ったものの、先輩のアドバイス通りにしてみることに決めた。


(四日目)


距離を置くっていっても元々避けられてるようなもんだし、学年も違うから五条先輩がこちらに来ない限り会うことはないはず。

教室までの道のりで偶然会うとか起こらない限りは…と曲がり角を曲がったときドンッ！と誰かにぶつかる。


「あ、すいませ…！？」


まさかこんなことあるだろうか。ぶつかった人物は五条先輩ご本人。

目を見開く私に対し五条先輩は特に驚いた様子もなくまるでここに私が来ることが分かっていたようだった。

そういえば先輩がよく私に構ってくれていた時はここでこうして待ち伏せされたこともあったっけ…

でも今日は距離を置いて避けなければならないのに。こんな時に限って会うなんて。ともかく、


「えっと…授業あるので失礼します」


サッと横を通ってみると難なく通り過ぎられた。

待ち伏せされてたわけじゃなかったのか…当然だよね。でも学年も階も違うしなんでここに？移動教室の授業でもあったのかな。

そう考えていればパシリと後ろから手首が掴まれる。


「！」


振り向く前にグイッとそのまま後ろへ引っ張られ、ポスンと背中越しに先輩の温もりを感じる。


「先輩ッ…？」

「…」


何も答えてくれず、長い腕がお腹にギュッと回って逃げられないよう閉じ込められた。

25話→←23話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す