58話 ページ18
出久サイド
Aの側にいられて、
Aに名前を呼ばれて、
Aを抱き締められるアイツ(荼毘)にとって、
何に不満を持っているのかさっぱり分からない。
愛するAに忘れられて、認知すらされない僕にとってそれはそれは羨ましく、
まさにAに愛されているようにしかみえない。
届かない想い、届かない言葉、届かない温もり。
あァ、これは彼女をもっと早く助けられなかった自分自身への罰なのかもしれない。
「A…ごめんッ…」
彼女を見つめて、そう謝ってもやはり僕の方を一切見てくれない。
それどころか、虚ろな瞳には誰が映ってるのかさえも分からないほどに暗かった。
「…そろそろ俺たちは行くぞ。じゃあな、ヒーローデク。お前に会うことはもう一生ないだろうな」
その声にハッとすると、荼毘はAを抱えて遠くの方へと行っていた。
「〜ッ待っ……」
いや、いまさら僕が彼女を追いかける資格があるというのだろうか。
なんて、考えている内に既に彼らの姿は消えていた。
「…ハハッ。もうどうしようもないじゃないか」
追いかける気力すら失って、ただその場に一人で座り込んだ。
彼女は救えないほどあちら側に堕ちてしまっていた。
愛する彼女は僕を忘れて、
愛する彼女は敵を愛していて、
愛する彼女は…もうどこにもいないんだ…
僕には何も残っていない。
…いや、何も残されていないのだ。
希望も未来も平和も全て崩壊した社会でヒーロー活動を続ける意味は何一つなくなった。
爆発音が相変わらず絶え間無く聞こえる。
建物が崩壊していく様子が目に映る。
人々の助けを求める声が響き渡っている。
それらから逃げるように、うずくまって、耳を塞いで、遮断して…
ヒーローのトップとしての義務を捨て去って、一人の弱い人間として、
静寂に包まれる世界の中で君を想って涙を流した。
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Omiso(プロフ) - ユリさん» 最後まで読んで下さりありがとうございました！貴方様を楽しませられたこと心から嬉しく思います！本当にありがとうございました！ (2020年9月1日 9時) (
レス) id: 9c7156f888 (このIDを非表示/違反報告)
ユリ(プロフ) - 凄く楽しかったです！ (2020年9月1日 0時) (レス) id: a96c1cf246 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - シラユキさん» 最後まで読んで下さりありがとうございます！貴方様にそう思って頂けてとても嬉しく思います！こちらこそ素敵なコメントをして下さり本当にありがとうございました！ (2019年12月18日 23時) (レス) id: 377f79ecdf (このIDを非表示/違反報告)
シラユキ(プロフ) - ラスト、泣きそうになってしまいました！！ どのページも楽しみながら読み進めることできました！！ 本当に最高の作品をありがとうございます！！ (2019年12月18日 23時) (レス) id: 4aa4850497 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - ひまりさん» 最後まで読んで下さりありがとうございます！貴方様から何度もコメントが来るたびにとても励みとなっていました！そして、この作品を褒めて頂けてとても嬉しく思います！本当にありがとうございました！！ (2019年11月22日 20時) (レス) id: 1a1ef423e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Omiso
| 作成日時：2019年11月8日 22時
