55話 ページ15
貴方サイド
愛おしい人が泣いている。
緑の美しい瞳に絶望を灯して、静かに涙を流し、ボロボロと目から雫を落としている。
強い貴方がそんな風に何もかも諦めて、屈する姿なんて見たくないよ。
だから、私が貴方の涙を拭き取ってあげる。
「…泣かないで…」
「A、俺は泣いてないぞ」
「なんで嘘をつくの？ほら、こんなに涙が溢れて…」
可笑しいな。たしかに泣いているように見えたのに。
いや、今も泣いているのは間違いないのに…
「…なァ、お前は誰を見てるんだ？見るべき相手は俺だろうが」
ガッと肩を掴まれてハッとすると目の前には"青い瞳の彼"がいる。
…あれ？私、今誰を見ていた？
「…あ、そうだよね。貴方が私が見るべき相手で…愛すべき相手なんだっけ」
「なんだっけ じゃねぇーだろうが。そうなんだよ。俺がお前の愛すべき相手なんだよ。それに何十年も愛し合っただろ？」
「そうだね…うん。そうだよね…」
彼(荼毘)こそが私の相手で、彼だけが私の唯一の人。
だって、何十年も愛してもらったもの…
過去が曖昧になるくらい、
自分の意思がよく分からなくなるくらいに、
彼に愛を貰ったのだからそうなんだよね。
だから、視界の隅で泣いている男の人(出久)のことが無性に気になるなんて…
ありえないんだ。
「荼毘」
「A」
互いに愛おしそうに名前を呼び合い、抱き合い、温もりを感じる。
安心する温もり。
(いや、違う)
青い瞳の貴方が私の愛する人なの。
(そんなことない)
これからも、誰よりも貴方を愛しているよ。
(誰よりも愛している？)
「愛しているぞ、A。誰よりもお前を愛している。…だから、お前をそうだろ？」
「うん、私も貴方を誰よりも……ッ…」
愛している と伝えようとする。
けれど、何故か喉がつっかえて出てこないの。
「どうしたんだよ？ほら、言えよ」
もちろんだよ、貴方に愛を伝えるよ。
「なんで言ってくれないんだよ。いつもいつもそれだけは…ッ…」
何言っているの？そんなことあるわけ…
「〜ッお前はいつになったら俺を愛してくれるんだよ！！？」
必死な貴方、愛を欲する貴方、愛すべき貴方。
いつになったらなんて…いつでも愛してるよ。
___＿
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Omiso(プロフ) - ユリさん» 最後まで読んで下さりありがとうございました！貴方様を楽しませられたこと心から嬉しく思います！本当にありがとうございました！ (2020年9月1日 9時) (
レス) id: 9c7156f888 (このIDを非表示/違反報告)
ユリ(プロフ) - 凄く楽しかったです！ (2020年9月1日 0時) (レス) id: a96c1cf246 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - シラユキさん» 最後まで読んで下さりありがとうございます！貴方様にそう思って頂けてとても嬉しく思います！こちらこそ素敵なコメントをして下さり本当にありがとうございました！ (2019年12月18日 23時) (レス) id: 377f79ecdf (このIDを非表示/違反報告)
シラユキ(プロフ) - ラスト、泣きそうになってしまいました！！ どのページも楽しみながら読み進めることできました！！ 本当に最高の作品をありがとうございます！！ (2019年12月18日 23時) (レス) id: 4aa4850497 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - ひまりさん» 最後まで読んで下さりありがとうございます！貴方様から何度もコメントが来るたびにとても励みとなっていました！そして、この作品を褒めて頂けてとても嬉しく思います！本当にありがとうございました！！ (2019年11月22日 20時) (レス) id: 1a1ef423e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Omiso
| 作成日時：2019年11月8日 22時
