53話 ページ13
静かにこちらを見据えるA。
その彼女の瞳は光も失って、ただ暗く沈み、表情は歪んだ笑みを浮かべる変わり果てた姿。
そして、肌には至る所に噛み付かれたような赤い痕。
もう分かってしまった。彼女は既にアチラ側の手に堕ちたのだと…
「おい、A。勝手に俺から離れるなって…ヒーローデクじゃねぇーか。久しぶりだな」
その声にハッとし、目を向けるとニタリと笑う荼毘の姿。
そして、彼女の隣にスッと並び、彼女の腰に手を回すと、僕に見せつけるように彼女を引き寄せる。
「そんで、トップヒーロー様がこんなところで何やってんだ？」
「何って…僕はヒーロー活動を…！」
「こんな崩れた社会でか？」
「…！」
その言葉に思わずグシャリと顔が歪む。
そんな僕を見て荼毘は高々と笑い、
「強大化したヴィラン連合、手に負えなくなった脅威。そして、平和は崩れ、弱肉強食の世界となった今、ヒーロー活動なんて無意味だろうが」
「…ッ」
まさにその通りで、ヒーローという職の信頼は既に損なわれていた。
誰も助けてくれない、ヒーローなんて偽善者だと。
国の治安が悪くなるほどにその声が上がり、批判の標的となる対象。
だけど、それでも…それでも僕は…ッ！
「何を言われたって僕はヒーローをやめない！！」
地面を蹴って、彼女の方へと手を伸ばす。
突然のことに驚く荼毘。そして、目を見開くA。
その彼女を抱き寄せて、荼毘から距離を離した。
「〜ッ離して！！彼の元に返させて！！！」
僕の腕の中で暴れて、荼毘を求める彼女。
彼女を救えなかった数十年の間に何をされて、僕を見てくれずに、荼毘を求めるようになったのは分からない。
ただ、そんな彼女に痛いぐらいに心が締め付けられた。
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Omiso(プロフ) - ユリさん» 最後まで読んで下さりありがとうございました！貴方様を楽しませられたこと心から嬉しく思います！本当にありがとうございました！ (2020年9月1日 9時) (
レス) id: 9c7156f888 (このIDを非表示/違反報告)
ユリ(プロフ) - 凄く楽しかったです！ (2020年9月1日 0時) (レス) id: a96c1cf246 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - シラユキさん» 最後まで読んで下さりありがとうございます！貴方様にそう思って頂けてとても嬉しく思います！こちらこそ素敵なコメントをして下さり本当にありがとうございました！ (2019年12月18日 23時) (レス) id: 377f79ecdf (このIDを非表示/違反報告)
シラユキ(プロフ) - ラスト、泣きそうになってしまいました！！ どのページも楽しみながら読み進めることできました！！ 本当に最高の作品をありがとうございます！！ (2019年12月18日 23時) (レス) id: 4aa4850497 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - ひまりさん» 最後まで読んで下さりありがとうございます！貴方様から何度もコメントが来るたびにとても励みとなっていました！そして、この作品を褒めて頂けてとても嬉しく思います！本当にありがとうございました！！ (2019年11月22日 20時) (レス) id: 1a1ef423e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Omiso
| 作成日時：2019年11月8日 22時
