ゆるさない 2 ページ8
作業の手を止めないまま、後輩Aちゃんは答えた。
「てんしさんに早く謝罪を。それだけです。私だって馬鹿じゃありませんから、出来れば個人情報晒しの件は脅しで済みたいんですよね……」
「既に細かいことは載せておいて、マジで何言ってんの……?いくら住所とか苗字含めた本名じゃないからって、人のこと勝手に載せていいとでも?」
「……A先輩は占ツクで再起不能になってもいいんですか?それだけじゃない、女子B先輩も。ずっと私たちに作品を荒らされ続けスレでは叩かれ続けますけど」
コン、とペンを置き、またスマホを弄り始めた。
「先輩達はこれまでも散々偽善者をやってきたみたいですけど、でもA先輩。盗作だって立派な違反ですよ?」
「だから、私は−−」
「はいはい、もう聞き飽きました。ほんっと嘔吐が出る。気持ちが悪い」
ぶつぶつと暴言をぶつけながら、彼女は画面に張り付き続けた。私たちはどうしようもなく、とりあえず目の前のプリントをこなすしかなかった。
力が入らない手でなんとかシャーペンを動かす。様々なことを思いながら、この重い空気を苦く味わっていた。
私は顔を上げ女子Bちゃんを見た。気付いた女子Bちゃんもこちらを見る。お互いに疲れた表情で、もう何も言うことができない。
すると突然。
「……は?」
後輩Aちゃんが画面を凝視しながら、不可解な声を上げた。
彼女は急に焦ったように画面をスクロールし、そして何か言いたげに怒りの表情をこちらに向けたが、バンとスマホを机に叩きつけただけだった。
突然のことに私たちは訳が分からない。何かあったのかたずねようにも、ただ睨む後輩Aちゃんを前に何も言えない。
こうして授業はただ流れ終わろうとしたが、時計の針が動く少し前に後輩Aちゃんは、
「……私は絶対に先輩が悪いと思っていますから。たとえ逃げても、謝罪するまで許されると思うなよ」
そう言って席を立ち上がった。
言葉の真意が分からぬまま、後輩Aちゃんが乱暴に荷物をまとめ出ていく様を、掻き消すチャイムと共に呆然と見送った。
どうでもいい裏設定
後輩Aは可愛い。でも性格がきつめ
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nasiremon(プロフ) - 現実とサイトの中での繋がりに深く考えさせていただきました。てんしさんに対し、私の考えを話したいと思いました。気持ちは、すごくわかるんです。私も一作者としてここにいるので。更新頑張って下さい!! (2020年8月3日 2時) (レス) id: fa0cba8ed9 (このIDを非表示/違反報告)
如月羅夢(プロフ) - 各人物の心情が丁寧にかいてあり、とても感動しました。とても素晴らしく素敵な作品ですね! 登場人物達のキャラも確立しており、スラスラと読めてしまいました。更新停止なのは悲しいですが、気長に更新されるのを待ってます! (2020年8月2日 10時) (レス) id: 3455aa0540 (このIDを非表示/違反報告)
洩矢 - 翔べないペンギンさん» 個人的にこれで終わりだと思うけど…(お話的に) (2020年7月31日 7時) (レス) id: d012a94347 (このIDを非表示/違反報告)
翔べないペンギン(プロフ) - え、ここで終わりですか……。非常に続きが気になります。3年も前のためもしかしたら別の所に移られているかもしれませんが続きを書いていただけたら嬉しいです。様々な人間模様にとても心を動かされました。とても素敵で最高の作品です。続きをどうか願っています。 (2020年7月25日 19時) (レス) id: 8712fe91c0 (このIDを非表示/違反報告)
モノクロ(プロフ) - 面白いです。更新頑張ってください! (2017年6月14日 23時) (レス) id: a0107e4e1a (このIDを非表示/違反報告)
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