これが恋だなんて信じないⅡ (ページ6)

今日:26 hit、昨日:7 hit、合計:57,146 hit

玲夏さんの恋愛事情ページ6

「何も言いません何にも言わないですよ」

「ええーっ言ってくれてもいいじゃん～～～～素直になれって～～～」

「玲夏さん酔ってますよね」

「酔ってないよ！ちょっとしか飲んでないもん」

「いや、でも飲んでますよ」

千秋楽からの飲み会にて。端の席で、私は玲夏さんに一昨日何があったかを話せとせがまれていた。具体的なことを話す気は無いのだけど。

「だから…バイト先で倒れたから、家まで送ってくれて看病してくれただけですって」

「………やば、少女マンガじゃん」

「いきなりガチトーンやめてくださいよ」

「ええ～いつのまにそんな関係に？嘘じゃん。で、Aちゃんは想いに進展ありましたか？」

「いや、プライバシーとかあるでしょ。ここ公共の場ですよ？」

「いいじゃんいいじゃん別に誰もうちらの話聞いてないし」と豪快に笑って言う玲夏さんに思わずため息をつく。確かに聞いてないけどさ……

「どうせもう好きなんでしょ？いいじゃん認めれば」

「玲夏さんは酔った時のうざ絡みがひどいって今頭にメモしました」

「好き」という言葉に心の中では反応してしまうが、別にそういう意味で好きなんじゃないと言い聞かせる。

「逆にさーなんでそんなに抑えるのさ？リアコってダメなこと？」

「ダメじゃないですけど。悲しいだけじゃないですか」

「なんで？」
そうきょとんとした顔で聞く彼女は何度も思うが小動物みたいだ。可愛いんだけど、ちょっとおっさんくささがあって、逆にそこがいいんだけど

「リアコってほとんどは叶わないんですよ。叶う人も稀にいますけど……色々手を尽くすからじゃないですか。私には無理です」

「ふーーん？じゃあ本当は好きと」

「いや、うーん……」

私だって思ってもいいならとっくに思ってるし。と悪態を心の中でついた。でもファンであって、同業者である以上はない方がいいものだ、と私は思う。

玲夏さんは「うーーん…」と考えるような動作をすると、さっきまでの雰囲気とはうって変わり、神妙な顔で「私の彼氏について話したことあったっけ？」と問いかけた。確か何ヶ月か前に流行っているパンケーキ屋さんに連れて行ってもらうって言っていた。結局綾瀬たちとは行けていない。最近甘い物食べてない気がするし今度行こう。

「いや、ないですけど…」

「実は私の彼氏さ、俳優なんだよねー」

「え、そうなんですか?!」

それは、玲夏さんから初めて聞く恋愛話だった。