これが恋だなんて信じないⅡ (ページ29)

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乱舞祭後の電話1 ページ29

「…も、もしもし？」

「あ、もう遅いのにごめん。俺でーす」

電話から聞こえてきたのは正真正銘宏規くんの声だった。あなたさっき武道館で歌ってましたよね？それじゃあオレオレ詐欺だよ…とか思いながら、「全然大丈夫。宏規くんも、今日はお疲れさま」と労うと、「ありがと～、……そういえば今日おったよね？絶対会ったよね？」と爆弾を投下された。

「だ、ダレノコトカナー」ととぼけると、「なに？その下手くそな誤魔化し方」と笑われた。あなたはいいかもしれんが私は心に色々きたんだよ！

「見つけて俺もびっくりしたんやけどさ、まさかなーって思った」

「ってか立ち位置のほぼ真ん前だったしね」

「あれは、マジでビビった」

「私もファンサみたいなことされてさっきまで放心状態だったよ」

「だって、目合ったのに何もしないのもな〜って」

いつもファンサろくにしないくせに！
と思いつつ、「まあ、嬉しかったし、いいけど」と息をつくと、「別に会おうと思えば会えるんやけどね」と言うので、「それを言うと全てが台無しよ…」と今日二回目の苦笑いをした。

「ははっ、ごめんって。あ、そういえばさ……手紙って今日、くれたよね？」

待って、いきなりその話題転換はキツいよ！心に大ダメージなんだけど！
冷や汗に近いものを心で流しながら「なんで気付くかな…早くない？」と諦めて言った。誤魔化してもしょうがない。手紙だから住所とか、テニミュ観せてもらったお礼とかも書いてある。しかも遊びに行ったこととかも…いや最後の方にちょこっと書いただけだけど！

「箱もらって、たまたま手紙の名前見たらAちゃんの名前で、それでびっくりして電話した」

「まだ内容見ていないなら大丈夫」

「え、今読もうとしとった」

「本人と話しながら読むとか鬼畜すぎるからやめよう？」

「え〜あかんの？」

「あかんに決まってるでしょ……！」

「なんで？」

「恥ずかしさで死にます」

文字で書けることをいいことに、手紙には口では伝えられないようなとーってもファンらしいことが書いてあるため、今読まれたら内容を思い出して恥ずかしくなること間違いなしだ。多分「大好きです」ぐらい書いてある。

しかし、画面の向こうから何を言っても効力などないわけで