音駒高校 ページ24
▹▸A
武田「東京の古豪 音駒高校」
音駒……。
音駒の事は知ってた。
バレーをやっていた頃に猫又監督には少しお世話になったから。
みんなの会話をBGMに動揺を隠すように大人しく、こぼしたドリンクを拭く。
日向「?東京?ねこま?」
菅原「音駒ってあの・・・ずーっと烏野と因縁のライバルだったっていう・・・??」
武田「うん!確か通称ーー''ネコ''」
日向「猫?」
「俺らも話だけはよく聞いててよ。前の監督同士がずーっと昔からのライバルで前はよくお互いに遠征に行ってたんだと。」
「実力が近くて相性も良かったから遠出する価値があるくらいのイイ練習試合ができたって聞くよ。」
菅原さんと田中さんは活き活きとした表情で音駒と烏野の過去を話していた。
菅原「練習試合があると近所の人は皆見に行ったらしいよ
名勝負!!''猫対烏!ゴミ捨て場の決戦!''つって。」
月島「それ本当に名勝負だったんですか」
A『ん〜。昔は有名だったし強かったから…ホラ。
まぁ、監督同士もライバルみたいな感じだしね。』
皆が楽しそうに音駒について話している中、相変わらず冷めきったツッコむメガネクンの言葉を拾ってしまった。
あっ と思った時には遅かった。
メガネの奥の透き通るくらい綺麗で鋭い目は私を映していて。
月島「ふーん。バレーのルールとか知らないって言ってた割には随分と詳しいんだネ。」
なんとなく会話を聞いてたから、たまたま近くにいたメガネクンのツッコミに返してしまった。
床を拭いていた手が止まる。
みんなの明るい会話が遥か遠くに聞こえてしまう。
固まったままの私の前にメガネクンはしゃがみ込んで私を覗き込む。
どうにか。どうにかしなくちゃ。
どうにかして切り抜けなきゃ。
慌てて笑顔を取り繕う。
心に、踏み込ませるな。
A『…ぃ今、皆が話してたのを少し聞いてただけだよ!
…猫又監督率いる強豪!!すごいよね!』
大丈夫。
当たり障りのない言葉を選んだ。
そう思ってしまった私は馬鹿だった。
月島「へぇ。''今の会話で''ね。でもさ…
''今の会話''で誰一人として
''音駒の監督の名前が猫又だ''
なんて言ってないんだケド??」
221人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ツナ缶本仕込み | 作者ホームページ:http://@ya love
作成日時:2021年10月1日 20時