2人を繋ぐ ページ17
清水
清水「じゃあ。奥村ちゃんは私が送ってくから。」
「潔子さん!お気を付けて!!」と熱烈な見送りを受けながら体育館を後にする。
清水「行こっか。」
A『…ハイ。』
影山が奥村ちゃんに告白した。
それも、今?!ってタイミング。
告白はタイミングだってよく聞くけどソレをみて何となく意味が分かった。
「奥村サンの事が好きです。」
どこまでも真っ直ぐで飾り気のない告白。
流石の菅原も田中もポカーンと口を開け呆然としてた。
・
『…ごめんなさい』
まさか断るなんて思ってなかった。
まだ2人のことを知ってから、出会ってから全く経っていないけど二人は硬い糸で繋がれてるような気がした。
影山はいつも奥村ちゃんを気にかけてたし、
奥村ちゃんもマネージャーの仕事中に影山を見ていたことがあった。
それから2人の足に結ばれた似たようなデザインの少し拠れたミサンガ。
影山はシューズを履く時に、愛おしそうにミサンガを撫で、シューズを履いていた。
奥村ちゃんは体育館シューズに履き替える時やしゃがんだ時に足のミサンガを気にする素振りを見せる。
唯一、影山と違うのはミサンガを靴下の中へ入れ、隠していること。私はそれを、周りの人に内緒でお揃いにしてるのかと思って見てた。
だから勝手に両片想いなのかと思って応援してた。
バレーに背を向け、一生懸命笑顔を作って心を閉ざしている奥村ちゃん。
それに寄り添おうと、ちょっと空回ってるけど必死になってる影山。
『私は“水瀬 ”じゃない。』
今にも消え入りそうで、触れたら壊れてしまいそうな声で奥村ちゃんはそう言った。
“水瀬A ”。
私でも聞いたことがある。
“ コート上の天使”と呼ばれ中学生ながらにバレー界では注目の的で、バレーボールに関わり始めたばっかりだった当時の私でも知っていた。
なんで奥村ちゃんが“コート上の天使 ”の名前を上げたのか。
私には分からない。
隣を歩く奥村ちゃんに目を向ける。
必死に俯いて唇をキュッと結んで涙を堪えてる。
やがて大きな分かれ道に着く。
A『…あの…ここまで大丈夫です。…ありがとうございました』
清水「うん。またね。」
どうか2人を繋ぐモノが壊れませんように。
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作者名:ツナ缶本仕込み | 作者ホームページ:http://@ya love
作成日時:2021年10月1日 20時