Tonight, tonight.

パズルゲーム-YS ページ6

妖精にいたずらされた―いや。
早い話が・・・このホテル内で道に迷っていた俺を(笑)
見つけてくれただけじゃなく、この場所からも救い出してくれそうな―
一人の女と出くわす。


誰だか知らんが、助かった。
助けてくれ(笑)


女はよほど慌てていたのか。
前しか見てない、といった勢いで飛び出してきて。


だが、「ｲｪｿﾝ」という存在の俺に驚いたのか。
急ブレーキをかけるように、俺が立つこの位置から数歩ほど離れた地点で足を止めた。


このホテルの従業員というには―あまりにカジュアルな。
T-シャツに、くるぶしまでの丈のジーンズという身軽な服装で。
その顔のメイクも、女にしてはどこか薄く。


ん・・・？顔―？


YS「・・・」


どこかで見た記憶のある―その顔を。
失礼だとか悪いだとか、考えも及ばず。
ジッと俺の正面の女を凝視する。


「あ・・・の」

YS「・・・」


どこだ。
いつどこで会った・・・女だ？
きっとどこかで会ったことがあるに違いない・・・気がする。


女が弱々しい声とともに、パチパチと数度まばたきするのを目に入れながら。
可愛くも―ときに憎たらしくもある、兄弟たちが言うところの。
マイワールドという世界に、自分でも知らず思考がトリップしかけたとき。


「ひっ、久しぶり！ｼﾞｮﾝｳﾝくん！！」


本来の俺の名だというのに―
あまりに懐かしい響きの呼ばれ方に。
俺はハッと我に返ったのだった。


そして、それと同時に。
俺をそう呼ぶ女の顔が―ある当時まで遡った、彼女自身のものと合致して。


思い・・・出した、ぞ。
確か高校のときの・・・！


だけど。


YS「んっ・・・あーー・・・んーー」

「・・・え？」

YS「ちょっと待ってくれ。今・・・思い出せそうなんだ；」

「あ、私？！」

YS「ん(笑)」


さすがに、名前までパッと閃かず。
なぜなら、同じ高校の出身といえど。
とりとめて大して接点のなかった・・・そんな俺たちだったわけで。


つい視線を彷徨わせていると、彼女が首から提げている―
ここの関係者であると示すような、ネームプレートが目に留まったが。
くそ・・・裏返って見えない、な(笑)


またしても―途方に暮れかけたころに。


「ｼﾞｮﾝｳﾝくん・・・正解もう言っていいかな；」

YS「ん・・・んーー」

「高校で同じクラスだった〜A、です＾＾」

YS「・・・悪かった。A；」


女―そう、Aは。
やはり俺を救ってくれたのだった。

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