Tonight, tonight.

クラシックモーメント ページ26

♪Baby,baby,baby 僕たちずっと一緒にいよう
♪Oh,my lady,lady,lady...


ため息が出ちゃうような―甘い詩と歌声に。
カクテルを乾いた喉に流し入れたときに似た―ぼぅっと頭に酔いが回るような感覚を覚える。
でも私をそうしてくれてるのはアルコールじゃなくって、あくまで彼らの歌。


企業側のプレゼンテーションが何事もなく、ひと段落して。
せっかくだからと〜私たちも会場の後方でSJの特別ステージをこうして傍聴中。
なん・・・だけど。


「はぁ〜〜・・・っ」

「！！ちょ、ちょっとジョア；」


ドンっと、隣にいた私によろけてきながらも。
そのうっとりした視線はあくまでステージの方・・・だね；
すっかりSJに骨抜きにされてる・・・や、気持ちはよーくわかるけど。


つまりはジョアも私も。
イベントの招待客たちも、ホテルサイドの従業員ですらも。
自分の仕事や立場を忘れそうになるくらいに・・・SJの歌声に心臓を掴まれてたわけで。


それにしても芸能人って〜やっぱりさすが。
一瞬にしてこの会場の雰囲気を、自分たちのものにして。
ここにいる全ての人たちが―彼らの世界に引き込まれちゃった。


そして、その中には。
かつての同級生で。
ほんの少し前に、驚きの再会を果たした―ｷﾑ・ｼﾞｮﾝｳﾝくんがいるわけで。


YS「〜〜♪〜〜♪」


ｼﾞｮﾝｳﾝくん・・・歌ってる。
バラード曲だけども、どこか楽しそうというか。
はにかんだような笑顔もたまに見せてくれるような〜そんな表情で。


「いや〜〜参ったね・・・」


思わず素直に、そんな言葉を吐き出していた。


「今歌ってる〜ｼﾞｮﾝｳﾝく・・・あ、ｲｪｿﾝっているじゃない？
彼ね・・・実は私の高校のときの同級生なの；」

「ええっ？！」

「ただもう、びっくり。昔から歌うの上手な子だったんだけどねぇ」


なんか不思議。
声って・・・年を重ねても意外と変わらないものなんだね。
彼のそれも、私が知る10年前のものと変わらない気がするのに―会場のこの空気ったら。


誇らしくて嬉しいような・・・でも、どうもそれだけじゃないような。
ちょっとだけ複雑な気分で〜ステージに目をやる。


だけど。


「ふふっ＾＾」

「うん？」

「なんか面白いですね。あのｲｪｿﾝを〜『子』って呼んじゃうAｵﾝﾆが＾＾」


そう、だね。
面白い〜かも？


だって、ｼﾞｮﾝｳﾝくんのことはほとんど何も知らないけど。
彼の歌声だったら―


10年前のあの頃も好きだった気がするから。

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