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その時の俺は子供ながらに
立ち向かった。

あの時の感覚は今でも残っている。


真っ赤だった。


床も、壁も、包丁も、

横たわる男だったもの、


そして、俺自身も。



息が上がっているのを、落ち着かせるように
俺はゆっくり深呼吸をした。

手の震えは止まらない。

その時、カタンと小さな音が
背後から聞こえた。




振り返るとそこには、母さんがいた。





「なに…これ……」

「母さん、俺、母さんを守ったよ…!
これで2人でまた、普通通りに暮らして…………母さん…?」

「これ…さとみがやったの……?」





母さんは、ゆっくりゆっくりと
男だったものに近づいてはしゃがみ込んだ。

すすり泣く声が聞こえる。


母さん……?
どうして泣いてるの?

ソレは母さんを苦しめたんだよ?

こうなって正解じゃんか。


ねぇ、母さん……こっち向いてよ…





「母さん…」

「うるさいっ…!!」

「っ…」





母さんは俺を、睨んできた。

いままで向けてこられた笑顔はそこには無く、
涙を零しながら睨んでくるその顔は、


俺に憎しみを抱いた、そんな感じだった。



俺は、母さんを守ったのに…

俺は、母さんの笑顔が見たかっただけなのに…


俺のしたことは間違ってた……?


俺の思ってたのことは間違ってた……?




母からの罵倒を浴びながら
俺は呆然と立ち尽くした。


俺は最後に言われた母の言葉だけを
今でも覚えている。






















" おまえなんか、いらなかった "





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めあり(プロフ) - キララさん» キララさん何作品もありがとうございます〜…!!(∩ω∩*`) (2021年2月16日 23時) (レス) id: 9f1dd59455 (このIDを非表示/違反報告)
キララ - 3つ目も楽しく読ませていただきます! (2021年2月16日 23時) (レス) id: 97464f7e6f (このIDを非表示/違反報告)
めあり(プロフ) - 蝶花さん» わわわ!ありがとうございます!頑張りますっ! (2020年12月7日 17時) (レス) id: 9f1dd59455 (このIDを非表示/違反報告)
蝶花 - 更新待ってます! (2020年12月7日 15時) (レス) id: 38881abff7 (このIDを非表示/違反報告)
めあり(プロフ) - 冷凍みかんさん» コメントありがとうございます!素敵なお言葉、光栄でございます!!頑張ります! (2020年12月6日 10時) (レス) id: 9f1dd59455 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:めあり | 作成日時:2020年12月2日 22時

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