な組の若頭【stxxx】

【7】Jel . ページ31

.





ここはどこだ……？




辺りは小綺麗な建物の中。

周りにはベッドや勉強机がある。


本棚には、おとぎ話の絵本や参考書、
漫画本や小説など、沢山のジャンルの本が並べられている。



見覚えのある場所だ。

もう何年も見てきた場所。






「…………施設や…」







「あら、えーくん起きたの？」

「あ…先生。」

「朝から頭痛いって言ってて寝てたのよ？
もう体調は大丈夫なの？」

「えっと…うん、大丈夫やで。」






俺は産まれた時からこの施設に居た。

産まれたと同時に母親から捨てられたらしい。


生後間もない時に、
この施設の入口に置き去りにされてたみたいで。

それを助けてくれたのが、
この施設の先生、"広香先生"だった。


施設には俺含めて6人くらい居た。


毎日が楽しくて、
親に捨てられてもなお、幸せだった。


ずっとこの幸せが続けばいいのに＿＿＿


そんなことを常日頃考えていたが。








幸せが崩れるのなんて、一瞬だった。










それは俺が11歳の時だった。


ある日、俺はみんなが寝静まった頃に
トイレに行きたくて目が覚めた。

あたりは真っ暗でだ。

トイレまで着くと、目が慣れてきて
視界がどんどん見えるようになってきた。


軽くトイレを済ませて、部屋に戻ろうとした時
何故か、嫌な感じがした。




嫌な感じは、みんなで勉強をする部屋から。

少し扉が開いてるのに気づき、
中を覗くと、俺の喉はヒュッと鳴った。






あぁ。












幸 せ は 長 く は 続 か な い 。





.

.→←.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す