愛され娘【黒の組織】

24話 注射か愛か ページ26

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『んぅ……やぁ！！』

ｼﾞﾝ「クッ…ダメだ、お前がなんと言おうと俺はやるぞ」

そう言い取り出したのは先端が鋭い、注射器


この日は組織の一大イベント、予防接種

Aの周りには幹部たちが勢揃いだった



『うぅ…やぁのぉ！！』

ｼﾞﾝ「うるせぇ！やるつったらやるぞ！！」


普段、Aには比較的、穏やかな口調だがさすがのジンも緊張しているのか口が滑ったようだ

Aに暴言を放ったジンを見て、A大好き陣は批判の声を浴びせる




ﾍﾞﾙ「私のAになんてこと言うのよ！？」

ｷｰﾙ「…最低ね」

ｷｬﾝﾃｨｰ「ジン！あたいはアンタを見損なったよ！！」

ｳｫｯｶ「あ、アニキ…」

ﾊﾞｰﾎﾞﾝ「Aになんてこと言うんですか！？」

ｽｺｯﾁ「…そんな汚い言葉……覚えたらどうするんだ」

ﾗｲ「いつかやらかすと思ってたぞ」



全員、一斉に溜息をつきジンの方へ目線をやる


ｼﾞﾝ「何だ、テメェらがAに針を刺すってのか？それはありがてぇ話だ」

そう言い放てばシュンッと静まり返る幹部たち


ｼﾞﾝ「チッ、A腕を出せ」

Aに向けた針がギラリと光り、幹部たちは息を飲む


当然、ジンも大好きなAに針を向けたいわけじゃない
これもAの健康のため…

しかしそんな彼の親心なんてAが理解できる訳もない




『やぁのぉ！！』

突然そう言うとすごい勢いでキールに抱きつく



『…ふぇ、きーるゅ』

ｷｰﾙ「もう、そんなに泣いていたら可愛い顔が台無しよ？」


ジンからAを隠すように抱きしめるキール


ｼﾞﾝ「……A、こっちに来い」

『やぁ！……う…う、ぅ』

突然“う”という言葉を連呼するAに幹部たちは頭に“？”を浮かべる





『う……うるゅ、しゃい！！』

「「「な！？」」」



数秒の沈黙後…

ﾍﾞﾙ「あぁ！！私のエンジェルが…ジン！！」

ｼﾞﾝ「……」

あまりに突然の出来事でジンはキャパオーバーしたのか、
目が点になっている





ﾗｲ「……ハネムーンはハワイに行こう」

ﾊﾞｰﾎﾞﾝ「やっぱりAには純白のドレスが似合うな…」

ｽｺｯﾁ「………誓います」


トリオはあまりのショックに妄想の世界に迷い込み、
他の幹部は膝から崩れ落ちる



だがしかし、1番ショックを受けていたのはジンだった

未だに目を点にするジンが心配になったのか、
Aはジンの元へ駆け寄り、ﾁｮｺﾝと座る

『…じぃ、だいじょぶぅ？』

そう言って頭をポンポンと撫でる



そんな彼女の姿を見てジンは勿論、幹部全員の心は浄化されて行ったとさ








その日の夜、Aが寝たあとこっそりと注射を刺したとか…

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