明日も３８ ページ39
その後は順調だった。
勝己と出会うシーンの時に手の甲にキスした轟君と少し揉めそうになったが、それこそ凶暴なドラゴン使いと王子の姫を巡っての争いを連想させたのか、ちょっとした盛り上がりを見せた。
Ａ組の面々が仲間になって、そして城に向かう。
敵役は入試の時の仮想ヴィランを使って行うので、本気でぶっとばして大丈夫。
こここそ、ヒーロー科の本領発揮である。
城は暗雲が立ち込め、炎を上げ、敵に囲まれている。
もちろんこれらは轟君の炎を応用して再現し、所々起こる爆発の演出も勝己の個性の応用だ。
『準備はいい！？』
『良いに決まってんだろ！！さっさと進むぞ！！』
剣を携えた出久とドラゴンを操る勝己が城に向かって叫ぶと、皆呼応しておおーっ！！と叫ぶ。
そんな中、庇うように手が伸ばされる。
『姫、危ないですから、下がって。』
『そんな、嫌です!!!!皆さんが戦っているのを見ているだけだなんて耐えられません!!!!』
『姫、』
『っ…！』
嫌だ、私も戦いたい。
しかし轟君の澄んだ目が、私に向けられて、その表情に思わず言葉を詰まらせる。
そして彼は穏やかに微笑んだ。
『私達を、信じて下さい。必ず国も、姫も、全て救って見せますから。』
『っ…！は、い！』
真剣な眼差しに覚悟を決め、轟君の手を握る。
『どうか、どうかご無事で…！』
真っ直ぐに視線を向け、涙ながらに微笑む。
すると轟君はもう1度微笑み、するりと手を離し、前を向いた。
『いくぞ』
覚悟を決めた背中を見送る。観客席から感嘆の声が上がる。
ちなみにここまで涙も、手を握るのも、全て演技である。
練習中、勝己が何度も発狂したこのシーン、現に今も勝己は歯軋りと眉間のシワが凄い。
しょうがないでしょ、王子役と姫役なんだから、と何度宥めた事だろうか。
きっと今日は手の甲にキスされた事もあるし、不機嫌極めてるだろうな、なんて考える。
その後、戦いに出た皆や、勇者の大剣を奮った出久によって、国は守られそして、劇はハッピーエンドを迎えた。
シンプルな王子と姫のRPGは大成功に終わったのである。
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シトロン - 初めまして！いつも楽しく読ませてもらっています！読むたびに胸きゅんする作品でとても素敵です！これからも頑張ってください！応援しています！ (2018年12月15日 14時) (
レス) id: 22bac4a663 (このIDを非表示/違反報告)
akamaru(プロフ) - ひなさん» 本当ですか！？さっき直したと思ったんですが、まだ７に行くようになっちゃってますか？！ (2018年2月10日 15時) (レス) id: 8e554ad2d5 (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - ごめんなさい間違えました！ (2018年2月10日 14時) (レス) id: e3fe067d7a (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - この小説の続きへを押すと7にいってしまうようになってますよー (2018年2月10日 14時) (レス) id: e3fe067d7a (このIDを非表示/違反報告)
akamaru(プロフ) - 妃薫。さん» コメントありがとうございます！かっちゃんの幼児化1度やったのですが、短かったのでじっくりやるのもいいですね！´`*続編に進みましたので、そちらでもよろしくお願い致します！ (2018年2月10日 13時) (レス) id: 8e554ad2d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：akamaru
| 作成日時：2017年12月7日 16時
