対処法129 ページ38
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『でも仕事は終わらないんだよなぁ……』
「終わらないんじゃなくて終わらせるのよ社会人」
先輩の辛辣なお言葉にガックリと首を折る。
様々な障害に阻まれつつもなんとか完成した私のプレゼンは、上の方からまずまずの評価を頂けた。何個か持ち込んだ新商品の着眼点を褒めて頂きつつも、その何倍にもなる改善点をのべられて、へろへろになりつつ終わった初回だった。
しかし初めはそんなもんである。これを糧に前に進むのが社会人の仕事。当人である私が諦めなければ、まだチャンスはあるのである。温情。
というかホワイトローズは割とその辺に寛容だ。社員の失敗には不利益だってついて回るはずなのに、それを余りあるブランド力と経済力で補っている。
すごすぎて訳がわからないと以前真咲さんにこぼしたら、「企業努力だ」と返ってきた。そんなわけあるかい
『新しい企画が思いつかないんですよ……0から1を生むのがこんなに難しいとは思いませんでした……』
「そりゃあ簡単ならみんなやってるわよ。変えが効かないのは発想力だもの」
『ですよね〜〜。………うう。真咲さんは何か良いアドバイスとかありませんか………?』
「……俺からは何も無いな」
助言を求めると、今まで普通だった真咲さんの表情に陰りが落ちた。涼やかな眼差しにささくれだつものを感じる。私はしまった、と感じた。
『あ〜〜……。ですよね。もう少し自分で考えてみます』
「そうだな。その方が今後のお前のためにもなる。自己研鑚はいいことだ」
そういうと真咲さんは少し顔を緩めた。でも眦にのった冷たさは依然としてそのままだ。
「打ち合わせに行ってくる。お前も不要なオーバーワークはするなよ」
『は〜い……残業は私も嫌です……紅茶ありがとうございました』
コンパスの長い彼の足が私のデスク横を通り抜けると、黙っていた先輩が怪訝な顔で口を開いた。
「な―んか……真咲君機嫌悪くなかった?」
『……やっぱりそうですよね?』
そもそもストーカー事件でぶっ飛んでいたが、真咲さんは元々私のプレゼン参加には反対だったのだ。それで一時期気まずくなってたくらいだし
今では私がそういった仕事に携わることを反対はしなくなったものの、アドバイスなどはしてくれない……というか、露骨に嫌な顔をする
それこそ先輩が気がつくくらいには
「どうしたのかしらね? 普段ならあんなに渋い顔しないのに」
『あ〜……う〜ん……』
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あ - 面白くて一気見した者です、もう更新されないんですね、この感じだと……。残念です (5月4日 12時) (レス) id: a4dff3124d (このIDを非表示/違反報告)
レモン - めちゃおもろいです!!夢主ちゃんの性格大好きです!更新楽しみにしてますっ! (12月12日 10時) (レス) @page43 id: 18ff82607c (このIDを非表示/違反報告)
はる - 初コメ失礼します!!この小説大大大大大好きです!!これからも頑張ってください!!応援しています!! (11月14日 20時) (レス) @page43 id: 41084e4d77 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - イヤァァァァアオワッタ好きですで (9月18日 15時) (レス) @page43 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
猫目 - すごく好きです (7月15日 14時) (レス) @page43 id: 5daa8eb0a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りんず | 作成日時:2019年12月28日 20時