対処法128 ページ37
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ストーカーが逮捕されようが
広報課の職員の人数がいつの間にか減っていようが
いつものように地球は周り、明日が来る
私の周りで変わった事と言えば、庇ってくれた安室さんを以前よりも怖いと思わなくなった事
それから家に「おかえりなさい」を言ってくれる人が増えたということだ
それ以外には特にこれと言って変わったことは……
『いやそれが一番問題なんだよなぁ〜〜〜』
「一ノ瀬ちゃん、紅茶溢れるわよ」
資料だらけのデスクに顔から突っ込んだ私に、先輩の若干ひいたような声が降ってくる。うめくように返答すると、私はこめかみを抑えて頭を抱えた
額にビタリと当たるデスクが冷たい。
私独り身の成人女性よ? 彼氏と同棲すらしたことない女よ?
そんな男性免疫クソ雑魚人間が、推しのおかえりボイスで平常を保っていられるわけがなかった。こんなん狂う。無理よりの無理
スコッチの前でこんなクレイジーな姿を見せるわけには行かないので、こうして職場の休憩時間に狂っているという訳だ。
過去の軽率な自分の行動が真綿のように首を絞めてる……
「放っといていいと思いますよ。一ノ瀬のそういう感じ、今に始まったことじゃないんで」
『ねえ真咲さんもしかして私のこと嫌い?』
「まさか」
スルースキルが高すぎる。いや別に私は構ってちゃんじゃないけど。同僚がクールすぎる
真咲さんが鼻で嗤いながらティーカップを傾ける。それだけなのにただのオフィスが華やいで見えるのだから顔が良いというのは罪だ。
遺伝子配列の敗北を感じながら、ちらりと真咲さんを盗み見る
涼し気な目元が伏せられていて、とても今朝私に広報課の人事異動の情報を寄越してきた人と同一人物には思えない。私的には彼女たちが何と言われてクビになったのかが非常に気になるところだが、藪をつついて蛇を出したくないのだ。
まあ真咲さんが割と何の感情もなく今朝の話をしたことを見ると、こういう事件も別に初めてじゃないんだろうな。白磁の美貌もここまで来ると枷である。
「まったく一ノ瀬ちゃん。可笑しくなっちゃうのはしょうがないにしても、そのペースじゃ仕事終わらないわよ? うちは強制的な残業はないけど……」
『死ぬ気で働かせて頂きます』
くしゃりと曲がっていた背筋をもとに戻し、えぐえぐと泣きながら資料に縋りつく
家に待っていてくれる推しができた以上、必要以上の残業は悪なのだ。早急に片さなければならない
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あ - 面白くて一気見した者です、もう更新されないんですね、この感じだと……。残念です (5月4日 12時) (レス) id: a4dff3124d (このIDを非表示/違反報告)
レモン - めちゃおもろいです!!夢主ちゃんの性格大好きです!更新楽しみにしてますっ! (12月12日 10時) (レス) @page43 id: 18ff82607c (このIDを非表示/違反報告)
はる - 初コメ失礼します!!この小説大大大大大好きです!!これからも頑張ってください!!応援しています!! (11月14日 20時) (レス) @page43 id: 41084e4d77 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - イヤァァァァアオワッタ好きですで (9月18日 15時) (レス) @page43 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
猫目 - すごく好きです (7月15日 14時) (レス) @page43 id: 5daa8eb0a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りんず | 作成日時:2019年12月28日 20時