対処法116 ページ25
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スコッチは思い出すように少し首を傾けた
「俺は天国と地獄だったらどっちに行くんだろう。残してしまった奴は大丈夫だろうか。これからどうなるんだろう。そんな事ばっかり考えてた」
どれだけさ迷っていたかわからない。夜の様な、霧の様な。慕わしいようで寒気のする浮遊感
いつまでも足がつかない。もう行き先さえあるなら地獄でもいいと思った。長く永く感じた。乾いた銃声の様に永遠だった
「そんな時間は、唐突に終わったんだけどな」
『え』
「生まれ変わったと思ったんだ。次に目を開けたとき、俺は猫になっていた」
『‥‥‥ネコチャン??』
「‥‥‥君が拾ってくれた、ヒカリ、っていう、猫に‥‥‥」
ネコチャン???
私の顔面は虚無と化した。勿論背景にはお馴染みとも言えようあのスペースキャットがいる。ヒカリがスコッチでスコッチがヒカリ。俺があいつであいつが俺で状態ではあるが、つまり私の拾った猫はスコッチ
ベッドで一緒に寝たりお風呂で体を洗ったり、一緒にパーティーに出たりしたヒカリは‥‥スコッチ
スコッチ??
『嘘だと言ってよバーニーィィィイイイィ!!!』
私はどしゃりとベッドから床に膝を着いた。カーペットがしいてあるにも関わらず半月板が損傷しそうな勢いである
「わ、悪い。一気にまくし立てすぎたが、これは本当なんだ」
『ほ、ほほほ本当にあのヒカリ? 毛並みツヤツヤでお目めキラキラで動画投稿したら一瞬でバズりそうなあの美猫が???』
「そ、そこまで誉められると照れるな‥‥」
オタクは一言も二言も多いいきものなので仕方ないのである
いやそれにしたってナンデェ??? だってヒカリだよ? スッピンだって見せたよ?? 部屋着だって見せたし、ましてや一緒にお風呂入ったから、は、は、裸も‥‥‥
『この世の終わりとはこういう事ですね』
「まてまてまてその手に持ってる紐をどうする気だ」
クローゼットの横にひっかけてあったループタイを首にそっ‥‥と持っていくと、スコッチが血相を変えて私の手首を掴んだ。離してください!私を殺して無かったことにします!!!
錯乱気味に頬を火照らせた私を困ったように見つめると、スコッチは「ごめん」と小さく呟き、ゆるゆると私の方に手を伸ばした。思いがけない弱々しさに、ヒュッと息を呑んでループタイを取り落とす
「ほんと、君からしたら、知らない間に知らない男を家にあげてたなんて、ほんとに怖い事だと思う。女性の一人暮らしって、ただでさえ危ないのに」
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あ - 面白くて一気見した者です、もう更新されないんですね、この感じだと……。残念です (5月4日 12時) (レス) id: a4dff3124d (このIDを非表示/違反報告)
レモン - めちゃおもろいです!!夢主ちゃんの性格大好きです!更新楽しみにしてますっ! (12月12日 10時) (レス) @page43 id: 18ff82607c (このIDを非表示/違反報告)
はる - 初コメ失礼します!!この小説大大大大大好きです!!これからも頑張ってください!!応援しています!! (11月14日 20時) (レス) @page43 id: 41084e4d77 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - イヤァァァァアオワッタ好きですで (9月18日 15時) (レス) @page43 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
猫目 - すごく好きです (7月15日 14時) (レス) @page43 id: 5daa8eb0a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りんず | 作成日時:2019年12月28日 20時