対処法107 ページ16
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ギリ、と歯の鳴る音が聞こえてきた。必死に怒りを抑えて、それでも堪えきれずに真咲さんの語気が荒くなっていく
「それは社会人として以前に、人間として致命的だ。そんなことは
真咲さんだけでなく、周りを取り巻く人達からも軽蔑の視線が突き刺さる。女性達は青を通り越して真っ白な顔をしていたが、真咲さんはそれでも止めようとはしなかった
「なぁ、なんでアンタ達に一ノ瀬の邪魔をする権利があると思ったんだ? アイツの努力を汲み取れないほどアンタ達が馬鹿だったとは思わない。それを知りながら、なんで半端にアイツの邪魔をした?」
唸るような声を出しながら、真咲さんがまた一歩ちかよった
「嫌がらせで何か変わったか? 俺がアンタ達の方を向いた? 一ノ瀬が諦めた? 上司の一ノ瀬を見る目が変わったかよ?‥‥変わってねぇよなぁ? 一ノ瀬だって憔悴こそしても絶対に諦めなかったよ。分かるか!? アンタら相手にされてねぇんだよ!!」
そこで初めて真咲さんが怒鳴った。背筋がビリビリと震える。くらりと目眩がした
「一生懸命頑張って!? 一ノ瀬のデータわざわざ捨てて、案ボツにして、デマ吹聴して!
その頑張り全部無駄だって分かんないならやっぱバカだよアンタら!! ウチの会社を何だと思ってんだ。そんなお遊び耳に入れるようなバカな人間は上層部にいねぇよ!
アンタらの何が悪かったか教えてやろうか? それをムダだとも分かんねぇようだから今這いつくばってんだよ!!」
強烈な勢いで真咲さんが怒鳴る。抑えられないという様に激情を口にする
「そんなに一ノ瀬がムカつくならまずアイツの評価ぐらい抜いてみろよ! 簡単だろ一ノ瀬は配属されて間もない新人なんだからよ!
毎朝始業前にしっかり来て、業界の流動を確認して、顧客のニーズを常に把握して接客のパターンを一度に3パターン思い付けるようになればいいんだよ!
アンタらが見下してた一ノ瀬だってここまでやってんのに、そうなる努力もしねぇから、いやがらせなんて低俗な事で自己満足出来るような下らない人間になってるんだろうが!」
心臓がドクドクと音をたてる。まさかそこまで、認めてくれてるなんて思わなかった。こんなに頑張りを見ててくれた人がいるのに
「‥‥謝れよ」
真咲さんは片手で顔をおおい、自分を落ち着かせるようにそう言った
「謝れ。一ノ瀬に、謝れ」
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あ - 面白くて一気見した者です、もう更新されないんですね、この感じだと……。残念です (5月4日 12時) (レス) id: a4dff3124d (このIDを非表示/違反報告)
レモン - めちゃおもろいです!!夢主ちゃんの性格大好きです!更新楽しみにしてますっ! (12月12日 10時) (レス) @page43 id: 18ff82607c (このIDを非表示/違反報告)
はる - 初コメ失礼します!!この小説大大大大大好きです!!これからも頑張ってください!!応援しています!! (11月14日 20時) (レス) @page43 id: 41084e4d77 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - イヤァァァァアオワッタ好きですで (9月18日 15時) (レス) @page43 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
猫目 - すごく好きです (7月15日 14時) (レス) @page43 id: 5daa8eb0a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りんず | 作成日時:2019年12月28日 20時