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第弐話 ページ3

(敦side)

「おい、 太宰ぃい!」

国木田さんの声が響く探偵社。 どうやら 太宰さんは仕事を放ったらかして何処かに行ったらしい。もしかしたら出社した時に言っていた、
『とっても美味しい物を食べた後だったら、上手く死ねるかも!』
なんて言うのを試しに行ったのかもしれない。

僕だったら、茶漬けを食べてから死にたいな、なんて。太宰さんは何を食べに行ったんだろ。ステーキとか? 蟹とかだろうか? まさかの世界三大珍味、とかいうものかもな、いいなぁ僕も食べてみたいなぁ

「ねぇ」

声のした方を見ると、鏡花ちゃんがいた。書類で分からないところだろうか? 何時もは1人で終わらせてしまうのに。

「書類、汚れてる。」

「..................ぅわあああ!?!?」

僕は危うく飛び跳ねそうになった。不味い。本当に不味い。この書類は凄く大切なものだ。
『汚してしまいました。すみません。』
では、殺される。国木田さんに。 嗚呼、なんてことだろう。その書類には、ボールペンのインクが滲んでいて黒ずんでいる。背負い投げ、だったら甘いものだ。きっと、半殺しだろう。

「大丈夫? 顔、死んでる。」

鏡花ちゃんが心配そうに見てくるけれど、大丈夫じゃない。本当に殺される。でも 後から出した方がもっと怒られるし、取り返しがつかなくなる.........仕方ない、国木田さんに言おう。今の国木田さん、太宰さんのこともあって機嫌が悪いんだよな、嗚呼、殴られる覚悟で行こう。

「くっ 国木田さん、 この書類汚してしまってっ 本当にすみませんっ。」

「...........................おい、敦。」

少しの沈黙の後、低くて恐ろしい声の国木田さん、殴られると思うと
「ひぃぃい!」
なんて、情けない声だろう。頭の中にはやばいの3文字が赤く警告音のように並んでいる。
やばい、やばい、やばい、やばい、やばい、やばい、やばい、やばい、やばい、やばい
『やばい』という3文字がぐるぐると脳内を駆け巡っていた時、

「敦!」

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作者名:六花 | 作成日時:2020年3月1日 0時

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