第拾話 ページ11
僕は悲しそうに目を伏せることにした。
「そう.........ですよね。でも僕は身分を証明出来るものがないんです。パスポートや、身分証明書を持ち合わせていません。お金もそれほど持ち合わせていません。この場所に付いて覚えていることも多くはありません。あ、日本語については母に教わったので困りませんが。ですが、こんな僕を警察の方は相手にはしてくれないと思います。怪しすぎるので。」
困り顔になりつつ、肩を落とし、“可哀想な子“ そんな雰囲気を作る。
「そんな時にとあるおじさんに 武装探偵社 のことを教わって、きっと助けてくれるって言われたんです。」
“きっと助けてくれる“この言葉は抜群に効くだろう。誰だってこんなことを言われたら助けたくなる。だからこそ卑怯と思われようが、僕はこの方法で、
「でも.........無理ですよね、こんな情報だけでは。」
「そんなことないよ! 探偵社には凄い名探偵がいるし、ほかのみんなも凄いし。国木田さん!助けて上げましょうよ!」
僕の話を聞いて中島さんが 思わず というように立ち上がって僕に言う。
「そうだな、カルメ、その少年を探すだけでいいんだな。」
国木田さんが仕方なくというように立ち上がって僕に問う。
「はっはい、引き受けてくださるんですか?!」
「本来、探偵が行う人探しとなるとざっと10万〜100万かかる。カルメ、お前はこの額が払えない、そうだろ?」
「.........払えないです。でもっ、」
「だからお前もその親戚とやらを探せ、依頼は受けん。だが、手伝うことならしてやる。」
「本当ですか?!」
驚いた。国木田さんというこの人は、話し方からしてルールとか規則に厳しいのだと思う。
だから屁理屈のようなこのような考えをすることに驚いた。
いい人だ、そう心から思う。
『理想』。国木田さんが描いているらしきもの。それは僕には理解できないことがある。でも、国木田さんはやっぱり人のために動ける人だ。
必ず理想の通りになるとは限らなくて、周りから非難されることもあると思う。それでも理想を突き通す国木田さんを、憧れてしまう。
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作者名:六花 | 作成日時:2020年3月1日 0時