悲しき鬼 其ノ弐

09.想い　あれから ページ1

◆A


無限列車の任務から2ヶ月。

ｶﾞﾗｯ＿…

ある部屋を覗く。
あの日から、眠ったままの煉獄さん。


『…まだ、起きないか』


ベッド脇に座り、様子を伺う。

呼吸はある。
しのぶさんの話では、お腹の傷もほぼ治ってきているようだ。


『…大丈夫、かな……』


怪我は治ってるみたいだ。
ただ、問題なのは、彼が鬼化しないかどうかだ。

私の血だから平気、という保証は無い。


「また来てたんですか」

『ひぇっ！』


いつの間にか背後にいたしのぶさん。


胡「毎日来てますね。鍛錬は大丈夫ですか」

『あぁ、はい。ちゃんとやってます』

胡「ちょうど良かったです。もう一度お話を伺いたかったので」

『…』



胡「煉獄さんの傷が治って来ているのは、やはりAさんの血の力でしょうね」

『はい…』

胡「ただ心配なのが、やはり煉獄さんが鬼化してしまわないかです」

『はい』

胡「少なくとも、あなたと同じ半鬼にもなる可能性があります」

『…』


彼が鬼化すること、半鬼になることが一番怖かった…。


胡「それから、Aさんが切った時だけ鬼の再生が遅くなる件について」

『多分、それも私の血が関係してるかと…、血が刀に落ちて赤く染まったんです。それで切ったら再生速度が落ちてました』

胡「何度か刀も調べさせていただきましたが、元の色に戻っていたようで調べようがありません」

『もう1回切りましょうかっ！』

胡「無駄な怪我はしないでください」

『はい…』

胡「…まずは煉獄さんが起きないことには確認のしようがありませんので、起きたら教えてくださいね」

『分かりました…』


そう言って出ていった。

起きるだろうか…


『…煉獄さん。早く、起きてくださいね』




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