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結局俺は、誰も、何も、何一つ守れなかった。
正義の意味なんてこれっぽっちも解ってない、ただヒーローに憧れてごっこ遊びをしてるだけの馬鹿だったんだ。
何も守れないこんな俺じゃ、もう何をしても意味がない…。
ならいっそ、もう全てを諦めてしまおう…。
そして、こんな俺にできることは、たった一つ…。
俺から大切な物を奪っていったこいつを、殺すしかない
そうする以外に、俺にできることはもう何もない。
昔、まだ俺が幼かったころ、祖母にこんなことを聞いたことがある。
なぜ人を殺してはいけないのか。
そんな答えがあるのかもわからないような
それは、自分の心が人ではなくなってしまうからだと―
思い返せば俺は操られていなくたって、人間らしくしていたって、正しくあろうとしていたって、人にも、仲間にも、この力を何の
そうだ…俺の心なんて、とっくに人じゃなくなっていたんだな…。
だから、もういいんだ…。
俺が人間を諦めてしまえば、それでいいんだ…。
ここまで来たら、本当に化け物にだって…魔王にだって…"人殺し"にだって…なってやる…。
そして、こいつを殺して…
俺も死のう
きっと、それが…俺にできる…唯一の
野盗頭「う…」
首を絞められていた手が緩まり、野盗頭の体の中に空気が入っていく。
野盗頭は涙を浮かべながら呼吸をする。
その度に胸が上下に動く。
両手足が潰れたこの人間は、今生きている。
野盗頭「ゆ、許してくれ…もう、やめてくれ…」
野盗頭は、震える声でそう言った。
勇斗「……」
その様子を、勇斗は無表情で見下ろす。
きっと、こいつらに殺されていった人間は、同じことを言ったはずだ。
お前に、同じことを言ったはずなんだ。
俺の婆ちゃんも、村の人たちも、この町の人たちも。
その時、お前はどうしたんだ？
自分だけは助かろうっていうのか…？
なんだよそれ…
そんなこと…たとえ他の誰が
勇斗「俺だけは赦さない」
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作者名：milkssss | 作成日時：2019年10月7日 16時
