[A.L.T.O]Rosary Kiss[学パロ/実.況.者]

八輪 ページ9

学校を出て、横一列に並んで歩く。
鈴原さんを真ん中に、何故か手を繋いで。
あ「あの、鈴原さん。何で手繋ぐん？」
『Les amis！
ワタシとアルトとイナノ。三人共les amis同士だカラ手繋グ！』
れ、レザミ…？
電子辞書を取り出したくなる衝動に駆られるが、
生憎鞄を持っていない方の手は、鈴原さんに握られている。
…帰ってから調べるか。
『後、familyname嫌！Firstname,s'il vous plait！』
英語とフランス語が混じっとる。
私らでも分かる様な言い方をしてくれたんかな。
あ「…分かったばい。これからはリナって呼ぶ。」
さん付けしたらしたで、きっと
＜さん付けも嫌！呼び捨てでシルブプレ！＞
的な事を言うんやろな。
そう読んで、私は敢えて呼び捨てで呼ぶ事にした。
稲「じゃあ俺も。えっと…、リナ。」
稲野ちゃんが顔を赤らめながら、彼女の名前を呼ぶ。
今まで女の子を下の名前で呼んだ事は無かった
って前に言ってたけん、えらい緊張しとるな。
吹き出しそうになるのを堪えながら、
前に倒れる自分達の影法師に向かって足を伸ばす。
もうすぐ分かれ道。
ここで稲野ちゃんと別れ、私とリナの二人きりになる。
今のこの状況をうちの学校の生徒やら何やらが見ていたら、
その目にはどんな風に映るんやろうか。
少なくとも、友達以上には見られるんかな。
って、私は何を考えとんや。
リナ自身は絶対そうやとは思ってないやろうに。
そう思うと何と言うか…、どこか気恥ずかしい様な感じがして
心の奥がむず痒くなってきた。
顔が赤いのは夕日のせい。
リナやって顔赤いけん。
私専属の影法師さん、この一瞬で良いけん代わって下さい。

彼女と別れ、家に帰ってすぐに自分の部屋に駆け込む。
今の顔を家のもんらに見られたら…。
上手い事言って躱せる自信が今の私には無い。
ドアを閉め、勉強机から椅子を引いて座る。
机に置いた鞄から改めて電子辞書を取り出し、
フランス語変換機能を呼び出して先程リナが
言っていた言葉を聞いたまま打ち込む。
えっと、レザミやっけな。
綴りが分からんかったし片仮名で。
あ「…＜【les amis(レザミ)】意味:友達(複数人)
単数人はl'ami(ラミ)＞。」
リナ、私らの事をそんな風に…。
あ「まだ、会ってすぐやのにな。」
にやけてしまいそうな顔をどうにか抑え、
外に聞こえない様に小声で呟く。
嬉しかったんや。しょうがないやろ。
ちょうど良いタイミングで母親からご飯の呼び出しが掛かり、
私は一言返事して電子辞書の電源を落とした。

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