二十九輪 ページ30
ブ「では、また明日。さようなら。」
『サヨーナラ！』
大きな声でそう返すリナと、先生に向かって軽く会釈する私ら。
先生が教室を出るのを見届け、二人と話す。
あ「どうするん？ここで書いてしまっとく？」
稲「ああ、今日書いといたら明日出すだけになるもんね。」
『明日書いて、センセに渡ス！』
稲「…それで良いの？」
『Oui！だって二人共、この後用事あるでショ？
これ以上二人を待たせちゃうとめーわく掛けるモン。』
そんなん、気にせんで良かやのにね。
稲「別に迷惑なんかじゃねえよ。」
あ「私も、迷惑やとは思わんばい。」
向こうには適当に言い訳付けとけば何とかなるけんな。
うちの生徒会、結構緩いけん。
『…じゃあ書ク！
アルトもイナノも優しいネ！』
鞄から筆記用具を取り出した彼女の近くで、
私と稲野ちゃんは微かに赤らめた顔を互いに見合わせていた。
時刻は四時半を切った所。
彼女が読めない文字や分からん言葉を見付けると、
私らは彼女にヒントを与える。
それを何度も繰り返し、何とか書き上げた。
あ「これで全部やね。お疲れ。」
『ヤッター！アリガトー！』
稲「部活は…、そろそろ終わる時間だな。」
あ「何や、部活が心配やったらそっち行っても良かったのに。」
稲「そう言う訳にもいかねえよ。」
あ「珍しい。ギターの事になるとえらいストイックになんのに。」
稲「ALTO君だって、生徒会の集まりは皆勤だったんでしょ？」
あ「まあ、ね。」
話している内に、リナが全ての準備を終えた様だ。
リナを加え、三人で話しながら教室を出た。
今から向かっても遅なるやろうし、仕方無かよな。
あ「私今日寄る所あるけん、二人で先に帰っとってくれん？」
稲「分かった。リナ、そうらしいから行こっか。」
『アルトと帰れないノ？』
あ「うん。ごめんな。じゃあ、また明日。」
ああもう、そんな顔せんで。
別れんのが辛かなる。
そんな気持ちをおくびにも出さず、
私は一人、いつもの道から大きく離れた場所にある商店街に向かった。
高校から割りと近い位置にある商店街。
通っとる高校と同じ名前が付いたその商店街は、
道行く人の憩いの場所や。
私はその中の一つの店に向かって足を進める。
足を止めた先は、商店街の店の中でもトップクラスに艶やかな花屋。
店に入ると艶やかさが増し、同時に恥ずかしさが込み上げてくる。
この歳の男一人でこんな所に来んのは、場違いにも程がある。
そんな思いをしてまでも、私にはここに立ち寄りたい理由があった。
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螢羅(K-Ra)(プロフ) - 緑月翡翠さん» いつもありがとうございます！フランス語を取り入れるのは初めてだったのですが、書いていたら楽しくて楽しくて…！毎日更新、出来れば良いんですけどねえ…。貴重なご意見ありがとうございます！ (2017年4月20日 7時) (
レス) id: 575549c323 (このIDを非表示/違反報告)
緑月翡翠(プロフ) - 完結おめでとうございます！フランスや花言葉は私も大好きで、とても良かったです…！読者としては毎日更新が嬉しいのですが、ご多忙なようなので時間があれば、という形がいいと思います。次作も楽しみにしています！長文失礼しましたm(__)m (2017年4月20日 6時) (携帯から) (レス) id: b835eb55b1 (このIDを非表示/違反報告)
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