二十六輪 ページ27
時間が経ち、三年生の部の結果発表。
ね「それでは、優勝クラスを発表します!
優勝は…、三年A組!」
時間をたっぷり使い、勿体ぶって優勝クラスを述べる。
A組はテラゾーさんのクラス。
テラゾーさんとA組の担任のやんわり先生が、
顔を見合わせて笑い合っている。
ここまで来たら総合優勝も取って欲しい所。
ね「さて、各学年の優勝クラスが出揃いました!
この後の見所は何と言っても、三年A組テラゾー君と
二年C組うばまろ君の生徒会対決でしょう!
二人共同じ種目、しかも同じレーンで泳がれますからねえ!」
ねねし先輩の煽りに、会場が盛り上がる。
ね「お昼休憩を挟んで、午後はいよいよ優勝決定戦です!
開始は昨日と同じ、一時の予定です。
それまでに何やかんやを済ませておいて下さいね!
それでは休憩です!
私も先程の皆さんの見事に発達した筋肉を
思い出しながら、白ご飯を貪ります!
あれだけで三杯はイケるなあ!」
笑い声とチャイムが重なり、周りが動き出す。
私も持ってきていた弁当を取り出し、蓋を開けた。
リナと稲野ちゃんも、それぞれ昼ご飯を取り出す。
あ「あれ、稲野ちゃん。今日は弁当や無いんか。」
稲「うん。今日は早く食い終わんなきゃって思って。
ブンブン先生の所に行くんでしょ?」
彼は手にしているおにぎりのフィルムを剥ぎ取り、ゴミ用の袋に入れる。
私も急いで食べ終わらんと。
途端にパンをもさもさ食べていたリナが、
そのパンを私に近付けてきた。
マーガリンの上に乗ったイチゴジャムが
食べ跡からテラテラと輝いている。
『アルト!一口Donnez-moi!』
文面的に<頂戴!>やろうな。
あ「良かよ。ほら。」
弁当とお箸を彼女の方に向け、代わりに食べ掛けのパンを預かる。
その様子に、稲野ちゃんが少しだけ嫌そうな顔を浮かべた。
あ「稲野ちゃんも食べる?」
稲「…いらない。これあるし。」
急に機嫌悪なったな。どうしたんやろ?
『イナノ。ワタシのパン食べル?』
稲「…いらねえよ。」
そんな冷たく言わんで良いやろ。
そう言いたかったが、その後に起こる事を考えた結果言うのが憚られた。
リナが、稲野ちゃんの手をそっと握る。
思わず彼が彼女の方を向くと、彼女がにこりと微笑む。
稲野ちゃんの顔が微かに赤くなり、おにぎりを大口開けて頬ばった。
それを見て、何故かまた黒い靄が私の心を支配した。
何とか食べ終わり、三人でブンブン先生の所に向かう。
リナの入部届を貰う為に。
先生は私らより離れた位置で、弁当を食べていた。
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螢羅(K-Ra)(プロフ) - 緑月翡翠さん» いつもありがとうございます!フランス語を取り入れるのは初めてだったのですが、書いていたら楽しくて楽しくて…!毎日更新、出来れば良いんですけどねえ…。貴重なご意見ありがとうございます! (2017年4月20日 7時) (レス) id: 575549c323 (このIDを非表示/違反報告)
緑月翡翠(プロフ) - 完結おめでとうございます!フランスや花言葉は私も大好きで、とても良かったです…!読者としては毎日更新が嬉しいのですが、ご多忙なようなので時間があれば、という形がいいと思います。次作も楽しみにしています!長文失礼しましたm(__)m (2017年4月20日 6時) (携帯から) (レス) id: b835eb55b1 (このIDを非表示/違反報告)
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