十輪 ページ11
つかつかと二人に歩み寄り、先生に向かって言葉をぶつける。
あ「この娘はまだ来たばっかりで、日本語もちゃんと読めんけん
ここの校則を把握出来てないんです。
後でちゃんと教えてやるんで、返してやっても良かですか？」
と「どんな理由があったにしても、違反は違反です。
これは、私が預かっておきます。
後で生徒会室に持って行っときますから、
また放課後にでも取りに来なさい。」
あ「それやったら私が預かった方が良かです。
私も生徒会の役員やけん！」
と「貴方に預けるとすぐに返してまうでしょう？
わざわざ先生が預かるっていう意味を知りなさい。」
食い下がるが、直後に正論が返されてしまう。
あ「それでも…！」
言い掛けた時、横から制服の袖をくいくいと引っ張られる。
『…。』
リナは首を横に振った後、改めて私を見据えた。
あ「…はい。
リナ、後で生徒会室寄ろか。」
教室からはまた、クスクスと私を嘲笑う声が聞こえた。
授業が終わり、二人の下に行く。
あ「ごめん、リナ。返して貰えんかった。」
『…ワタシ、嬉シイ！』
あ「え…？」
『怒られたノニ、助けてクレタ！
だカラ、嬉シイ！』
朝と変わらぬ明るい笑顔でそう言ってくれる彼女を見て、
私は少しだけ、ホッとした。
稲「俺も、ごめん。
一番近くにいたのに、何も出来なかった。」
あ「稲野ちゃんは悪うないよ。
あんな場面やったら普通は何も言えんて。」
そうフォローしても、彼は沈痛な面持ちを保ったままだった。
あ「リナ、あれ何取られたん？」
見てた限りやと、四角い形の機械みたいに見えたけど。
『ア…、enregistreur vocal….』
アンルジストルール・ボーカル…？
あ「どんなやつなん？」
稲「現物を見た限り、ボイスレコーダーじゃねえか？」
あ「何で分かるんよ？」
稲「俺も普段からよく使ってるんだよ。
ギターのフレーズを録音したり、部活に提出する仮歌を録ったり。」
流石は茉莉花高校のギタリスト。
あ「でも、何でそんなん持って来てたんよ？」
『…初メテ、ママがクレタ。』
稲「初めて？」
『Oui.ママ、厳シイ。怒ルト、とても怖イ。
でも、Franceにいた時にcadeau、プレゼントしてクレタ！
それカラ、ずっと持っテル。ワタシのオ守リ！』
気丈に話す彼女を見て、こう問い掛けてみる。
あ「…リナ。」
『ナニ？』
あ「さっきも言ったけど、
放課後、一緒に生徒会室行こか。」
彼女はこちらを見て、明るい表情のまま頷いた。
その隣で、稲野ちゃんは朝の時の私と同じ顔をしていた。
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螢羅(K-Ra)(プロフ) - 緑月翡翠さん» いつもありがとうございます！フランス語を取り入れるのは初めてだったのですが、書いていたら楽しくて楽しくて…！毎日更新、出来れば良いんですけどねえ…。貴重なご意見ありがとうございます！ (2017年4月20日 7時) (
レス) id: 575549c323 (このIDを非表示/違反報告)
緑月翡翠(プロフ) - 完結おめでとうございます！フランスや花言葉は私も大好きで、とても良かったです…！読者としては毎日更新が嬉しいのですが、ご多忙なようなので時間があれば、という形がいいと思います。次作も楽しみにしています！長文失礼しましたm(__)m (2017年4月20日 6時) (携帯から) (レス) id: b835eb55b1 (このIDを非表示/違反報告)
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