一輪 ページ2
稲「…おし、二連勝。」
あ「やけん強いって！イカサマしてるんや無いん？」
稲「な訳無えだろ。ちゃんと正々堂々やってるわ。」
あ「嘘やろ。絶対何かやっとる！」
夏休みが終わり、二学期初めての登校。
私と稲野ちゃんはいつも通り、
朝のホームルームまでの時間をトランプゲームで潰していた。
これが中々勝てない。だって稲野ちゃんが強過ぎるし。
まあ、またやろうって思えるから良いんやけどな。
そうこうしている内に、チャイムが鳴り響く。
それと同時に、稲野ちゃんが私の机にばらされた
トランプを慣れた手付きで片付けて席に戻った。
ドアの外からは二つの人影。
そう言えば、始業式の時に転入生が来るって言っとったな。
この時期に転入生とは珍しい。
やがてドアが開き、二人が教室に入ってくる。
一人はこのクラスの担任、ブンブン先生。
もう一人は、どこかエキゾチックな雰囲気を持った女の子。
着ている制服も、ここのものでは無い様だ。
ブ「おはようございます。
先程全校集会の時にお話しましたが、
今日から彼女、鈴原さんがこのクラスの仲間になります。
鈴原さん、自己紹介をお願いします。」
先生に黒板の前まで導かれ、チョークを手に取る。
少しまごついた後、制服のポケットから
折り畳まれた紙を取り出して広げ、
紙を見ながら辿々しく文字を書いていく。
少し歪な文字は、＜鈴原 リナ＞と読めた。
書き終わると、こちらを向いて言葉を述べる。
この時も、紙を見ながら話していた。
『ハ…、初めまシテ！ワタシの名前ハ＜鈴原リナ＞と言いマス！
仲良く、して下サイ！宜しくお願いしマス！』
片言の日本語だ。
成る程、紙を見ていたのは日本語が不得手やったからか。
そんな彼女が話す度に、クラスの一部から
何故かクスクスと言う声が漏れてくる。
ブンブン先生がその一部を睨み付けると
途端に声が収まった。
頑張って話してんのに笑う事無いやろ。
ブ「では、鈴原さん。そこの窓際の席が空いているので
そこに座って下さいね。」
『Oui！』
窓際の席…、稲野ちゃんの真後ろか。
稲野ちゃんは女子と話すのあんまり得意やないけん。
二人のパイプ役に徹するのもありやろうな。
そう思いながら、私は歩いていく彼女を見つめた。
彼女は机に鞄を置き、目が合った稲野ちゃんににこりと笑い掛ける。
それに呼応する様に、稲野ちゃんは微かに頬を赤く染めた。
そしてすぐに前を向いてしまう。
これは私の出番みたいやな。
けど次は授業やし、ちょっと待っとってな。
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螢羅(K-Ra)(プロフ) - 緑月翡翠さん» いつもありがとうございます！フランス語を取り入れるのは初めてだったのですが、書いていたら楽しくて楽しくて…！毎日更新、出来れば良いんですけどねえ…。貴重なご意見ありがとうございます！ (2017年4月20日 7時) (
レス) id: 575549c323 (このIDを非表示/違反報告)
緑月翡翠(プロフ) - 完結おめでとうございます！フランスや花言葉は私も大好きで、とても良かったです…！読者としては毎日更新が嬉しいのですが、ご多忙なようなので時間があれば、という形がいいと思います。次作も楽しみにしています！長文失礼しましたm(__)m (2017年4月20日 6時) (携帯から) (レス) id: b835eb55b1 (このIDを非表示/違反報告)
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