6 Yside ページ6
「上手く言えないんだけどさ、前の北山とは違う気がするんだ」
ずっと溜め込んでいた想いを口にして、きっとすっきりしたんだろう
太輔は、ふぅ…と小さな息を吐いた
みっちゃんの違和感
正直、それ程感じた事は無かったけれど、俺には少しだけ心当たりがあった
「……太輔が言うならそうなんだろうな。」
「いや、でも自信はないんだ。今の北山の事、知らないからさ…。」
「仕事の時は、背中合わせでもなんでも分かり合ってるじゃん。」
「……どうかな。背中合わせの時間が長すぎて、向き合う事なんて少ないよ。」
「…寂しいか?」
「は?まさか。」
ピクリと動いた眉間
相変わらず、みっちゃんに関しては分かりやすい
「そうか?俺には、向き合いたいって言ってるように聞こえたぞ?」
「寂しいなんて思った事は無いよ。ただ…ちゃんと向き合ってれば、もっと早く北山の変化に気付けたかなって…。」
「で、分かりやすく落ち込んでた訳か。」
「…。」
黙り込んだ太輔は、悔しそうに唇を噛んだ
悔しい気持ちは分かる
だって太輔は、いくら距離を置いたってみっちゃんを特別な存在として感じていたのは確かだから
「ふふっ。まぁ仕方ないよ。太輔はみっちゃんのプライベートは、あんまり知らないしな。」
「…渉は何でも知ってるみたいだな。」
「んー。まぁ…太輔よりは?」
「……北山の変化は、プライベートの事が原因なの?」
「いや、それは分かんない。けど、もしかしたら…って思い当たる事はある。」
あからさまに苛立ちを表情に出す太輔に、S心が刺激される
「何だよ、嫉妬か?(笑)」
「違うし。」
「怒るなよ。」
「怒ってねぇし!なんか今日の渉、意地悪だ。」
「そう言うって事は、図星って事だろ?(笑)」
「…。」
ギッって睨む表情は、子供が拗ねてみせるそれに重なって
「んふふ。可愛いな、太輔は。」
「うるさい。」
「……聞きたいか?みっちゃんの事。」
「いいっ、聞かないっ!」
怒ってぷんぷんしながら、楽屋を出て行ったけど
きっと太輔はみっちゃんの事、もっと気になってくるはず
もしかしたらもう、聞けば良かったって後悔してるかも…
だから…
俺は太輔がSOSを求めて来た時に、ちゃんと向き合えるように
太輔が感じた違和感の訳を俺なりに理解しておかなきゃ
.
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作者名:MISA | 作成日時:2017年12月7日 13時