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「飲めるか?ゆっくりでいいからな。」
コクコクと喉を鳴らして、飲む姿に少し安心する
「おかゆ作ったんだけど、食べれそう?スープもあるよ?」
「藤ヶ谷…作ったの…?」
「うん。渉レシピ。味は…多分大丈夫だと思う。」
「…スープ…飲みたい…。」
「分かった。温めてくる。その前に汗一杯掻いてるから、着替えちゃおうか。」
「ん…」
枯れた声でも、ちゃんと答えてくれる
体が思うように動かないのか、俺にされるがままの北山に、不謹慎だけれどずっとこの状態が続けばいいのにと思った
「あーんしようか?」
「ゴホッッ…ばっ…自分で食える///」
「なんだ、残念。」
顔を真っ赤にしながら、もぐもぐと口を動かして咀嚼する
「スープ飲んだら、頑張って薬飲もうな。」
「……」
そう言えば、途端に縋る様な上目使い
「そんな顔しても、ダメでーす。」
ぷぅと唇尖らせて拗ねた顔で、じっと掌の薬を見つめる
「……飲ませてあげようか?」
「大丈夫っ!!!」
目を瞑ってぐっと薬を流し込む北山に、
「飲めたね。偉かったね。」
って頭を撫でると
「子ども扱いすんな///」
って拗ねながらも嬉しそうな顔するから…
「可愛い…」
思わず、引き寄せて抱き締めた
「…ぁ……」
「…少しだけ…」
「…」
俯いた顔に表情は読み取れない
けれど、ギュッと握られた拳が布団の上で不安げに動くのを見て、ゆっくりと体を離した
「ごめん…もう…寝ような。」
「……藤ヶ谷…」
「薬、効いてきたら楽になるからな。」
体を支えながらベッドに寝かせると、布団から目だけ出して不安そうにこっちを見る
「そんな顔すんな。大丈夫。寝るまでちゃんと傍にいるから。」
「……だから…子ども扱いすんなって…」
言葉と反対にちょっと頬を綻ばせた北山
暫くすると、また…すっと眠りにおちた
北山の事を考えると俺はいつも迷路に迷い込む
そして北山の事を考えれば考える程、また北山を好きになる
迷路の出口を知っているのは北山だけだ
「……ふ……ゃ…」
「北山?」
覗き込んだ寝顔には、一本の涙の筋
「ごめ……じ…ゃ……ごめん…」
どんな悲しい夢見てるの…
「…なぁ、北山…俺の想いは…お前を苦しめているだけか…?」
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作者名:MISA | 作成日時:2017年12月7日 13時