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メンバーはそれぞれに次の仕事や自宅へと向かい、部屋は誰もいなくなった

俺は…何だか重い気持ちを抱えたまま帰る事が出来なくて、一人飲み物を買いに自動販売機へと向かった





薄ぼんやりとした灯りの中

ゴトン、と缶が落ちる音が響く

添うように置かれたベンチに腰を下ろした時、足元の視界に影が入る

確かめるように顔を上げると、





「あ…悪ぃ…」





気まずそうに視線を揺らす北山と目が合った





今日は訳も分からず謝られてばっか…





……嘘

ホントは分かってる

北山が何を俺に謝ってるのか…





「…北山」





そそくさとコインを入れ込む北山の背中に呼びかけると、北山はゆっくりと振り向いた





「…ん?」

「……お前と一緒に仕事するのが、嫌な訳じゃないからな。」

「…」





少しだけ大きくなった瞳は、北山の隠された心を映し出す





「お前とだから、今までどんな事も乗り越えて来られたし、これからもずっとそうだって思ってるから。」

「…」

「絶対…皆を頂点に連れて行こうな。」





何度も向けられた俺への『ごめん』の答え

北山はきっと、言いたい事の全てを理解して受け止めてくれる





「うん。……ありがとな。」





缶コーヒーをぎゅっと握りしめて、微笑む北山にまた…小さな違和感

このまま帰したくない衝動に駆られて、じゃあ、と背を向ける北山に話しかけた





「俺は……お前に謝られる事も、お礼を言われる事もしてない。」

「え?」





俺だけが…なんて思った事も一度もない

皆同じだけ苦しみを抱えてる

皆に助けて貰える事ばかりじゃない…誰にも言えずじっと一人で耐えた事だってある

皆…色んな事を乗り越えてきたんだ





俺と北山、2人だけにしか知らされない事実を背負う事もあったけれど

それを負担だと思った事も無かった

俺一人じゃなかったから





「だって…俺達、シンメだろ?」





俺の言葉に、一瞬泣きそうな顔を見せた北山に

『だから、お前の抱えてるもの、少しでも預けてくれないか』

とは言えなかった

北山の変化に気付く事が出来なかった小さな罪悪感が邪魔をして…





少しの沈黙

自販機の音が耳障りなほどに響く





「そうだな。……俺達は………シンメだもんな。」





そう呟いた北山の、小さな痛みを含んだ笑顔が

俺の心に、なぜかズンと重く伸し掛かった






.

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作者名:MISA | 作成日時:2017年12月7日 13時

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