28 ページ28
レギュラー番組の収録
その後に行われた雑誌の取材
皆の心配も余所に、北山は普段通り完璧に仕事をこなした
きっとスタッフの誰もが北山の演技に騙されていたと思う
「ありがとうございましたー!」
「お疲れ様でした!」
スタッフの声に、一人一人丁寧に頭を下げながら挨拶を返す
笑顔を崩さないまま楽屋のドアを開け、一歩中に入った途端に北山は足元から崩れ落ちた
「北山っ!」
「ミツ!」
北山が心配で、何気ない振りをしながら、ずっと一歩後ろを歩いていたのが幸いして、北山が床に叩き付けられる事は避けられたけれど、抱き止めた北山の体は驚く程熱くなっていて
「北山。」
「ん……藤ヶ谷…」
「よく頑張ったな。」
「……もう…動けない…」
「うん。ちゃんと連れて帰ってやるから、安心しろ。」
「……ん…。」
安心した様に瞼を閉じた北山の衣装を皆で着替えさせて、メイクを落とした
「じゃあ、ガヤさん、ミツの事よろしくね。」
「うん。」
「何かあったら連絡しろよな。」
「ありがと、わた。」
「ミツは病人だからね。襲っちゃダメだよ?」
「襲うかっ!」
真顔で言いのけたたまの頭に一発お見舞いして、北山を助手席に乗せた俺は、皆に見送られながら北山のマンションへと車を走らせた
送迎車やタクシーでしか来た事のない北山のマンション
見覚えのある景色が、窓の外を流れていく
赤信号で止まる度北山の様子を見るけれど、一向に起きる気配はない
荒い息を繰り返す北山に、このまま負ぶって部屋まで連れて行こうと考えていたのに、駐車場に着いた途端、北山の瞼がゆっくりと開いた
「大丈夫か?」
「……ん……ここ…どこ…?」
「北山んちの近くの駐車場。」
「……送ってくれたの?」
「うん。」
「ありがと…」
「部屋まで送るよ。」
シートベルトを外して、外に出ようとドアに向き直ると
「ここでいいよ…。ありがと。」
倒したシートからゆっくりと体を起こすと、荷物を手に取り出ようとする
「無理すんなって。お前まだ熱高いんだからな。」
「ん…大丈夫…。」
「誰が見たって大丈夫じゃないって。……部屋見られて困るなら、玄関までで帰るからさ。」
「……見られて困るのは…藤ヶ谷だろ…?」
「は…?」
「…」
揺れる瞳に、咄嗟に掴んだ熱い腕を引き寄せた
.
727人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Kis-My-Ft2」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:MISA | 作成日時:2017年12月7日 13時