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レギュラー番組の収録

その後に行われた雑誌の取材





皆の心配も余所に、北山は普段通り完璧に仕事をこなした

きっとスタッフの誰もが北山の演技に騙されていたと思う





「ありがとうございましたー!」

「お疲れ様でした!」





スタッフの声に、一人一人丁寧に頭を下げながら挨拶を返す

笑顔を崩さないまま楽屋のドアを開け、一歩中に入った途端に北山は足元から崩れ落ちた





「北山っ!」

「ミツ!」





北山が心配で、何気ない振りをしながら、ずっと一歩後ろを歩いていたのが幸いして、北山が床に叩き付けられる事は避けられたけれど、抱き止めた北山の体は驚く程熱くなっていて





「北山。」

「ん……藤ヶ谷…」

「よく頑張ったな。」

「……もう…動けない…」

「うん。ちゃんと連れて帰ってやるから、安心しろ。」

「……ん…。」





安心した様に瞼を閉じた北山の衣装を皆で着替えさせて、メイクを落とした





「じゃあ、ガヤさん、ミツの事よろしくね。」

「うん。」

「何かあったら連絡しろよな。」

「ありがと、わた。」

「ミツは病人だからね。襲っちゃダメだよ?」

「襲うかっ!」





真顔で言いのけたたまの頭に一発お見舞いして、北山を助手席に乗せた俺は、皆に見送られながら北山のマンションへと車を走らせた

送迎車やタクシーでしか来た事のない北山のマンション

見覚えのある景色が、窓の外を流れていく

赤信号で止まる度北山の様子を見るけれど、一向に起きる気配はない

荒い息を繰り返す北山に、このまま負ぶって部屋まで連れて行こうと考えていたのに、駐車場に着いた途端、北山の瞼がゆっくりと開いた





「大丈夫か?」

「……ん……ここ…どこ…?」

「北山んちの近くの駐車場。」

「……送ってくれたの?」

「うん。」

「ありがと…」

「部屋まで送るよ。」





シートベルトを外して、外に出ようとドアに向き直ると





「ここでいいよ…。ありがと。」





倒したシートからゆっくりと体を起こすと、荷物を手に取り出ようとする





「無理すんなって。お前まだ熱高いんだからな。」

「ん…大丈夫…。」

「誰が見たって大丈夫じゃないって。……部屋見られて困るなら、玄関までで帰るからさ。」

「……見られて困るのは…藤ヶ谷だろ…?」

「は…?」

「…」





揺れる瞳に、咄嗟に掴んだ熱い腕を引き寄せた





.

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作者名:MISA | 作成日時:2017年12月7日 13時

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