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テレビ局の廊下

楽屋へ向かう前方に、愛しい人の背中を見付けた





なんだか……様子が変…?





声を掛けようと駆け出した時、その姿は楽屋の中へと吸い込まれる様に消えていった





「おはよ!」





ドアを開けて中へと駆け込むと、既に弟達に囲まれた北山がいた





「北山。」

「おぅ…藤ヶ谷、おはよ。」





キャップとマスクに隠された顔は僅かしか見えなくても、体調の悪さは隠せていない

メンバーもそれに気付いてる様子





「みっちゃん、調子悪い?」

「ん…ちょっと…風邪引いた、かな…。」

「熱は?」

「んー?」





へへへと、また誤魔化そうとする北山の額にニカの手が触れた





「うわっ、ミツ、結構熱いじゃん!」

「みっちゃん……何度あったの?」





グッと顔を近付けて、威嚇するように尋ねる渉に、北山も観念したみたいだ





「…38度…かな…?」

「ええっ?ちょっとじゃないじゃん!大丈夫?!」

「ん。へーき。」

「ホントに?」

「声も出るし…大丈夫。皆には迷惑かけないから…。」

「でも…」





健永に腕を引かれながら、ソファまで辿り着く間にも、ふらふらと足元は覚束ない

心配そうに北山を見つめる渉が、俺にちらりと視線を送って来た

きっと…北山を止めろと言いたいんだろう

だけど…





「北山。」

「ごめんな、藤ヶ谷。」





この『ごめん』は、助けを求めるものじゃない





「……行けそうか?」

「うん。」

「太輔!」

「無理だと思ったら、すぐに言え。絶対倒れるような事だけはすんな。」

「分かった。」

「俺が支えてやる。だから安心しろ。」





くしゃっと頭を撫でると、赤く染まった頬が嬉しそうに上がった





「ありがと、藤ヶ谷。」

「ん。」





演者の代わりはいない

体調管理も演者の仕事

怠った者に次の仕事の保証はない

ここはそういう世界だ

キスマイが危機だとスタッフが言う現状で、失敗は見せない方が良い

それは…俺も北山も痛いほど分かってる





俺達の気持ちを汲み取ったんだろう

渉が北山の前に座って視線を合わす





「みっちゃん、俺達もいるからね。辛くなったら、助けを求めてね。我慢はダメだよ。」

「ん。…ありがと。」





頷くメンバーに、北山がへへっと照れ笑いしながらお礼を言う

温かい眼差しが交差して、胸が熱くなるのを感じた







.

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作者名:MISA | 作成日時:2017年12月7日 13時

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