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2人きりの個室…
何だかあまりないシチュエーションで…しかもここ暫く、北山の事ばかり考えてる俺にとっては
……最高に居心地が悪い
「藤ヶ谷は飲む?」
「え?…あ、あぁ…そうだな、飲もうかな。」
酔ってしまっては意味がない
けれど、少し酔わなきゃ自分の想いを伝えられない気もした
「じゃあ、俺も…」
いつも通りつんと口を尖らせて、メニューをガン見してる
そんな姿にすら俺はドキドキが止まらないのに、北山は突然のこの状況をどんな風に思ってるんだろう
「とりあえず、ビールかな。藤ヶ谷は?」
「同じで良いよ。」
「ん。」
散々迷った挙句、結局ビールを頼むのもいつも通り
「んじゃ、お疲れ〜。」
運ばれてきたビールで乾杯して、顔半分をジョッキに隠されながらゴクゴク飲むのもいつも通りだ
「ぷは〜。やっぱ、美味いな!仕事上がりのビールは!」
「んふふ、そうだね。」
「ほら、料理もどんどん来るから、いっぱい食えよなっ!」
並べられていく北山好みのつまみと、俺好みの料理…
北山は口一杯含んで、もぐもぐと咀嚼しながらビールを飲む
思いっきりおっさん臭を溢れさせた幼稚園児みたいな北山を見てるだけで幸せで、せっかく二人がくれたチャンスだけれど、このまま何も聞かない方が…
そう思い始めた俺に、ブレーキを掛けたのは他でもない北山だった
「……藤ヶ谷さ、最近…なんか悩んでる?」
「へ?」
「たまがさ、藤ヶ谷の話、聞いてやって欲しいって…」
「あ…そう…」
たまのヤツ…
でも…聞くしかないよな…
「あのさ…」
「俺も、ずっと気になってたからさ…」
「え?」
「藤ヶ谷が何か考え込んでるの……俺、見てたから…」
「あ…」
もしかして…心配してくれて…た…?
「もし…俺で良かったら……藤ヶ谷の力に…なりたいな…って…。」
流れ落ちるジョッキの雫を指で掬いながら、ポツリ…ポツリと話す北山
俯いた瞳が、時折上目遣いに俺を見る
それ…反則だっての…
「俺なんかより…さ、横尾さんの方が藤ヶ谷は…」
「違うよ。北山じゃなきゃダメなんだ。」
「え…?」
「北山と…話がしたかった。」
きょとんとした表情で俺を見上げると、ふわっと微笑む北山
けど、ごめん…
きっと…これから俺が話す事は、北山のその笑顔を壊してしまうと思う…
「聞いたんだ…渉から、全部…」
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作者名:MISA | 作成日時:2017年12月7日 13時