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俺にとっては随分と長い沈黙の後、悲しみを含んだ声で渉が途切れた話を再開する
「みっちゃんが、もう誰も好きにならない、って言ったんだよね?」
「うん。…家族を持っちゃいけないって言われた時は、両親の離婚がトラウマになってんのかとも思ったけど…でもそうじゃない気がして…。」
「うん。きっとご両親の事が原因じゃないと思う。」
「もう誰も好きにならないって…どういう意味なんだろう…。」
「…」
「わた、何か知ってるんだろ?」
「…」
何も言わず俺を見つめる瞳
渉は何かを知ってる
それは目を見れば確かだった
北山が俺よりも渉に心を許してるって現実に、予想してたけどやっぱり落ち込む俺がいる…
「なぁ…太輔さ、ぶっちゃけみっちゃんの事どう思ってんの?
「どう…って…?」
「こんなに必死になってる太輔、久しぶりだからさ。みっちゃんの事、やっぱり特別なのかなぁ…って。」
渉は何を言いたいんだろう?
そんな事聞かなくったって…
「特別だよ?そんなの決まってんじゃん。北山は大切な俺のシンメ…」
「だけじゃ、ないでしょ?」
「は?」
「それ以上の感情はない?」
「え…?」
それ以上の感情…?
って何を…
「はぁ……気付いてないか。まぁ、それはまた今度。…みっちゃんの事教えてあげるよ。でもな、太輔、みっちゃんの事守るには、かなりの覚悟が必要だぞ?」
「覚悟…?」
「あぁ。今の太輔にとって、辛い話かも知れない。」
「どう言う…」
「止めるなら今だ。」
普段見ない渉の真剣な表情に、心臓がバクバクと高鳴る
覚悟して聞かなければならない程の過去
それが現実に北山の身に起こっている…
怖い…
でもちゃんと聞かなきゃ…
北山を救うために
「聞く。…聞かせて欲しい。」
「…分かった。」
震える手をグッと握り締める
ふーっと苦しそうに息を吐き出してから、渉が話してくれた北山の過去…
それは俺が想像していたよりも遥かに残酷なものだった
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作者名:MISA | 作成日時:2017年12月7日 13時