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「渉、北山の事教えて欲しい。」

「いきなり何?どうしたの?」





あれから俺は、北山の事を全部知りたいと渉を飯に誘った

唐突な質問に渉の箸がぴたりと止まる





「前、渉言ってただろ?北山の事知りたいかって。北山の過去に何があった?」





話を急き立てる俺に、渉は怪訝な顔をしながらもゆっくりと箸を置いて俺に向き直った





「みっちゃんが、何か言ったのか?」

「俺は家族を持つ事は出来ないって…誰も好きにならないって…」





あの時の北山の表情が、目に浮かんでくる

それは今日までずっと、俺の心を締め付けてきた残像だ





「……そう…。」





渉はそう小さく呟いて、考え込むようにテーブルの一点を見つめた





「北山の事知りたいんだ。渉の知ってる事、俺に教えてくれないかな。」

「……知ってどうするの?」





渉の声はいつになく真剣で、俺を真っ直ぐに見つめる目は、真実を探ろうとしてるみたいだった

渉には誤魔化す事は出来ない

俺の想いをちゃんと口にしなければ、北山を守る事なんて出来ない

俺はある種の覚悟を決めて、渉に向かって想いをぶつけた





「北山を守りたい。」

「…守る?」

「多分…北山、泣いてた。誰にもバレない様に必死で我慢しながら…。もし北山がそうやってずっと苦しんで来たなら、俺がその苦しみを少しでも和らげてやりたいって思ったんだ。苦しみを取り除く事は出来なくても、楽しみで包んだり、俺が一緒に苦しみを感じる事で助けられたらって…」

「…」

「俺に出来るか分かんないし、北山はそんな事望んでないかもしれない。それでも…俺は、本当の北山を取り戻したい。」

「……本当のみっちゃん…か…」





渉はそう呟いたまま、じっとまた何かを考えている

俺は話す事は得意な方でもないし、不器用だからちゃんと気持ちが伝わっているのか不安で…





頼む…教えてくれ…





そう祈りながら、ただ渉の事を見つめることしか出来なかった







.

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作者名:MISA | 作成日時:2017年12月7日 13時

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