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「でも…ミツは、実はああ見えて結構分かりやすいからね。」
得意げな表情のニカ
「北山が?」
「うん。強がって何にもないように見せてるけど、辛い時とか甘えたい時、結構俺達にシグナル出してるよ?」
「シグナル…?」
少なくとも俺は出されてない…、と思う…
「うん。すげぇ、飯誘って来るとかさ。」
「え、でもそんなのいつもじゃん。」
「そうなんだけど、誘われ方がいつもとは違うんだよ。なんかこう…一人でいたくないって感じが、すっげぇ分かるんだよね。」
「そういう時は、あんまり帰りたがらないしね。」
「うんうん。何か一生懸命話題を振ってくる感じね!分かるっ。」
そもそも俺は北山から飯に誘われる事なんてない
それじゃシグナルなんて受け取れるはずないじゃないか…
「そっか…皆にはそうやって甘えてんだな。」
「でも、一番甘えたがってんのは、ガヤさんにじゃない?」
「え?」
「やっぱり気付いてない?ミツ、参ってる時は、結構ガヤの事見てるよ?」
「……全然、気付かなかった。」
「そっか…。」
寂しそうに3人が笑う
本当に、気付かなかった
そんなに視線を向けてるなら、気付かないはずはないのに、どうして…
「ガヤさんは気付いてないんじゃない。見ない様にしてるだけだよね?」
宮が穏やかな笑みの中で、寂しげに瞳を揺らす
「ずっと…長い間、ガヤさんはそうする事で、キスマイを守ってくれてたんだもんね。」
「みや…」
「キタミツもそう。ガヤさんの事見てるけど、いつも気付かないでって言ってるみたいだった。だから、ガヤさんが気付かなかったのは当然だよ。」
優しい宮の言葉に泣きそうになる
どんな時も、俺達は大丈夫だと思ってやってきた
北山も俺も、キスマイを守れるだけの強さはあるんだと…
そう思わなければ…この世界の荒波に押し流されてしまいそうだった
少しでも、自分の弱さを見せてしまえば、それで終わりだと
例え北山にでも…
きっとそれは、北山も同じで…
だから俺達は互いを振り返らずに、ずっと背中合わせで頑張ってきたんだ
けれど、その事が北山のあの日の涙に繋がっているのだとしたら…
俺は何の為に頑張って来た?
一番大切に想って来た、北山の事、何一つ守れないで…
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作者名:MISA | 作成日時:2017年12月7日 13時